感情の揺れ方

それでも笑っていたい

映画評

細田守監督作『竜とそばかすの姫』

細田守は、人間を描くことに興味がない。大枠のストーリーや狙いが間違って伝わることがなければ、登場人物たちの人間味やバックボーンが観客にどう解釈されようが、そして自分の描写しなかったところでキャラクターがどう生きていこうが、気にならない。『…

アダム・ウィンガード監督『ゴジラvsコング』

ツッコミたい。もはやこれはツッコミたいなと思わせるところまでを含めた映画体験、エンターテインメントだと思うのだが、それでもツッコミを入れずにはいられない。『ゴジラvsコング』という映画を観たあとに浮かんできたのはそんな感想だった。 2014年に公…

ナタウット・プーンピリヤ監督『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』

「やり方を知っていたからさ!」 ──『刑事コロンボ』56話「殺人講義」より すべてのトリックを見破ったコロンボに「なぜ殺人を犯したのか」と聞かれた犯人のセリフだ。「殺人講義」の犯人であるロウとクーパーは裕福な家庭に育った大学生で、明晰な頭脳を持…

庵野秀明『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』

さらば、全てのエヴァンゲリオン。ありがとう、すべての仕組まれた子供たち。『エヴァンゲリオン』は終わった。電車、ヴンダー、エヴァ。あるいは『エヴァンゲリオン』という作品そのものから、シンジが、アスカが、レイが、退場していった。 物語終盤のDパ…

映画『罪の声』監督:土井裕泰 脚本:野木亜紀子

野木亜紀子の、怒り。痛烈なまでの怒り。この世界には唾棄すべき邪悪があり、その被害に苦しむ人たちがいる。それは決して「臭い物に蓋をする」などという行いで見過ごすことの許されるものではない。「声をあげる」こと。「あの人は自分だったかもしれない…

映画「ジョンウィック:パラベラム」

最強の殺し屋、ババヤガことジョン・ウィックが暴れ回るシリーズの三作目『ジョン・ウィック パラベラム』。第一作目では「外連味」と「ハッタリ」を、第二作では「数」と「場」を前面に押し出した演出になっていたが、今作の目玉は「殺し方の変化」ではない…

カン・ヒョンチョル監督作 映画『スウィング・キッズ』

傑作が誕生した。新たな疫病の流行、アメリカに端を発する人種差別問題の再燃、ポリティカル・コレクトネス。これらがエンターテインメントに与える影響は大きすぎるほど大きく、誰の目にもつかない場所で死んでいった何か、誰かは確実に存在するだろう。し…

グレタ・ガーウィグ監督作 映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

非常に美しい映画だった。なんと言えばいいのか、俳優陣や街並み、木々や波打ち際に至るまで、画面に映し出されるすべてのものが美しかった。 ルイーザ・メイ・オルコットによる世界的なベストセラー小説『若草物語』を原作に、グレタ・ガーウィグが監督・脚…

武内宜之監督 映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

果たしてこの作品は、本当に「タイムリープもの」であると言えるのだろうか。ポスターを見ればそこには「繰り返す夏休みの1日、何度でも君に恋をする」とあるし、作品自体へのイメージも『時をかける少女』などのタイムリープものと似ているような印象を感じ…

細田守監督作 映画『デジモンアドベンチャー』『ぼくらのウォーゲーム!』

『デジモンアドベンチャー』、いわゆるデジモンシリーズの中で「無印」と呼ばれるテレビシリーズが放送されていた当時、果たして世代ど真ん中だった私は毎週の放送を待ちわびていた。それがもう20年も前の話だということにびっくりしているのだが、この2020…

映画『ジョン・ウィック:チャプター2』

『ジョン・ウィック』に続いて、こちらの『ジョン・ウィック2』も大好きな雰囲気の映画だった。前作は今までのノワール映画、あるいはアクション映画とはひと味違う外連味にあふれた仕上がりだったが今作もそれと違わぬ、いやむしろハッタリの効かせ方が別方…

映画『ジョン・ウィック』

こういう映画が好きだ。This is HollyWood とでも言うような、エンターテインメントの塊とでも言うような、アクションてんこ盛りで人がバンバン死んでいくような映画が、ときどき無性に見たくなる。 『ジョン・ウィック』の主人公はキアヌ・リーヴス演じるジ…

映画『容疑者Xの献身』

東野圭吾原作の『ガリレオ』シリーズがテレビドラマ化されたのはいつだったかなと思い調べてみると、ファーストシーズンは2007年の放送でもう13年も前だった。東野圭吾の小説を読み漁っていたころが懐かしい。例えば「青春小説を一冊挙げるとしたら」と聞か…

映画評『ラ・ラ・ランド』

非常に良かった。素晴らしかった。 まず、ミュージカルを映画という分野で行おうとする時に問題になるのは、"舞台作品だという意識をどこまで持つのか"だと思う。映画に比べて舞台は自由である(観る側にとっても演じる側にとっても)とかいう話ではなくて、も…

映画評:『ムーンライト』

とても、とても静かな作品だった。輝く月を写す海のように、寄せては返す波の音が余韻として深く刻まれるような、そういう作品だった。 三部構成になっている作品で、特に大きな事件もなく、ともすればある程度の人間が経験したことがあるような日常とその大…

映画評『ジョーカー』─アーサー・フレックの黄昏─

DC映画というと、私はクリストファー・ノーラン監督の『バットマン・ビギンズ』から始まる『ダークナイト』、『ダークナイト・ライジング』の三部作くらいしか観ていない。それもリアルタイムの上演を観ていたわけではなく、数年前にレンタルで済ませたくら…

──「境界の超越」あるいは「神話の解体」──映画評:『天気の子』

2016年、『君の名は。』の大ヒットによって一躍日本アニメーションの中心を担う存在になった新海誠監督の最新作が『天気の子』だ。 この作品における重要なモチーフのひとつに、「境界の超越」がある。物語の冒頭、主人公の森嶋帆高は生まれ育った故郷の島か…

映画評:『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

傑作だ。2010年代最後の年に傑作怪獣映画が誕生した。2014年に公開されたギャレス・エドワーズ監督による前作『GODZILLA』は、3.11、あるいは9.11といった災害や事件を思わせるシーンが散見され(少しではあるが)、どちらかと言えば1954年版の『オリジナルゴ…

映画評:『シェイプ・オブ・ウォーター』

連日の更新になります、こんにちは。結果的に余暇が増えている状況なので、さまざま映画やら演劇やらを見て更新頻度をあげていきたいなと思っています。 今回はギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』についての感想を書いていきます。前…

映画評:X-ミッション

お久しぶりです。今年2回目の本来の更新です。色々と観たい作品はあったんですが、いかんせん機会とお金がなく。 さて、今回はX-ミッションを観てきました。エクストリームスポーツが題材になっている作品ですね。僕はわりとその類のスポーツが好きなので前…

映画評: 傷物語 Ⅰ鉄血編  ※ネタバレあり

お久しぶりです。明けましておめでとうございます。今見たら去年は結局3回しか更新してないんですね。今年はもっと更新します。するかもしれない。 さて、2015年最初は傷物語です。僕は原作のファンで、アニメも中学生のころから見ています。そういうファン…

映画評:心が叫びたがってるんだ ※ネタバレあり

誰だわりと定期的に更新するとかほざいていたやつは。あやうく半年経ってしまうところじゃないか。 言い訳をすると、それなりに観劇はしていたんですが文章にして残したいほど感情を動かされるようなものに出会えておらず、ざっくりいうと書くのがめんどくさ…