感情の揺れ方

それでも笑っていたい

宝塚

感想:宙組公演『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-/Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』

シャーロック・ホームズ。おそらく世界で最も有名な探偵であり、「聖書の次に読者が多い」と評されることもある「ホームズ」が、宝塚の舞台に登場した。並外れた頭脳に詰め込まれた、偏った知識。部屋の壁に銃を打つ(しかも下宿の)などの悪癖……「頭の良い変…

感想:月組公演『桜嵐記/Dream Chaser!』~サヨナラ珠城りょう・美園さくら~

月組トップコンビ珠城りょう・美園さくらの退団公演となる『桜嵐記/Dream Chaser!』が始まりの時を迎えた。一年以上が経っても新型感染症の拡大に歯止めがかからず、さまざまな分野や業界、そして個人個人に制約がかけられる状況の中でこの公演の幕が上がっ…

感想:花組公演『アウグストゥス─尊厳ある者─/Cool Beast!!』 (後半は批判的な文章になっています)

花組トップスター・柚香光の2作目、そしてトップ娘役華優希のサヨナラ公演となる『アウグストゥス─尊厳ある人─/Cool Beast!!』が幕を開けた。 『アウグストゥス』は田渕大輔氏によるオリジナル作品で、古代ローマ帝国初の皇帝となったオクタヴィウスを主人…

望海風斗・真彩希帆の退団によせて

宝塚歌劇団雪組のトップコンビ、望海風斗・真彩希帆が2021年4月11日の『fff─フォルティッシッシモ─/シルクロード~盗賊と宝石~』東京宝塚劇場公演千秋楽をもって退団する。男役・望海風斗と娘役・真彩希帆。宝塚歌劇団の歴史に大きな足跡を残したふたりに、…

2010年代宝塚歌劇オリジナル作品お芝居5選&ショー10選

2020年、新型感染症の流行が拡大し、宝塚歌劇はもちろん演劇界全体が大きな影響を受けました。披露されることのなかった演目の数たるや、もはや想像することも出来ません。エンターテインメントが停滞した年。それが2020年でした。劇場に足を運ぶことが不可…

感想:星組公演『ロミオとジュリエット』

ミュージカル『ロミオとジュリエット』が、礼真琴・舞空瞳率いる星組によって宝塚の舞台に帰ってきた。シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』をジェラール・プレスギュルヴィック氏が新たにミュージカル化したこの作品の日本初演が2010年。それから…

感想:雪組公演『fff フォルティッシッシモ─歓喜に歌え!─/シルクロード~盗賊と宝石~』

現雪組トップコンビ、望海風斗・真彩希帆の退団公演が幕を開けた。2020年は新型感染症の流行を受けて世界全体が様々な影響を受けた年であり、2021年になってもその状況は変わっていない。この『fff』もまた、本来の上演スケジュールから変更を余儀なくされた…

感想:星組公演『エル・アルコン─鷹─/Ray─星の光線─』

礼真琴がティリアン・パーシモンを演じるのは必然だったのかもしれない。2007年、安蘭けい・遠野あすかというトップコンビを中心にした星組で上演された『エル・アルコン─鷹─』は、主人公ティリアン・パーシモンがが今までの宝塚らしくない、いわゆる「ダー…

感想:宙組公演『アナスタシア』~真風涼帆・星風まどかの遥かな旅路~

ミュージカル『アナスタシア』。おそらくだが、2020年日本のミュージカルシーンはこの作品が席巻するはずだった。はずだったのだ。新たな感染症が世界中で流行し、人々が分断され、ありとあらゆる舞台の幕が閉じたままになるという事態に直面することがなけ…

感想:雪組公演『NOW! ZOOM ME!!』

新型感染症の流行に際し、あらゆる舞台の幕が閉じられてからもう半年ほどが経つ。東西に常設の専用劇場を擁し、100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇団も例外ではなかった。本拠地の宝塚大劇場も、東京宝塚劇場も、公演中止を余儀なくされた。席数削減、オーケスト…

2019年星組公演『アルジェの男』─柴田侑宏の人間賛歌と、それに応える礼真琴─

野望に生きたジュリアン・クレールは最後に愛を知ることが出来たのかもしれない。しかし、友情を知ることは最後までなかった。 柴田侑宏作『アルジェの男』は1974年に初演、以来1983年と2011にも再演、2019年には礼真琴を主演に据え星組で上演された。物語は…

2018年花組公演『ポーの一族』~「極上の美」はそこにある~

『極上の美 永遠の命 底知れぬ恐怖 知りえぬナゾ 伝説の中に 青い霧と たそがれと闇の中に しとどおちる血と 冷たい指と ほほえみの中に 霧の森の奥深く バラ咲き乱れる苑に住む 我らは一族 時を止め 生き続ける 我らは一族 ポーの一族』 目の前の人間が本当…

ルイジ・ルキーニは「信頼できない語り手」か?~2014年花組公演ミュージカル『エリザベート─愛と死の輪舞─』より~

信頼できない語り手(しんらいできないかたりて、信用できない語り手、英語: Unreliable narrator)は、小説や映画などで物語を進める手法の一つ(叙述トリックの一種)で、語り手(ナレーター、語り部)の信頼性を著しく低いものにすることにより、読者や観…

2018年月組公演『THE LAST PARTY~S.Fitzgerald's last day~フィッツジェラルド最後の一日』─月城かなとの持つ細やかさ─

1920年代アメリカ、狂乱のジャズ・エイジ。人々は歌い、踊り、不可能など存在しないかに思われた栄光の時代。その象徴として生き、挫折を背負いながら死んでいったスコット・フィッツジェラルド。そんな彼の波乱に満ちた人生を描くのが、植田景子作・演出の…

2017年宙組公演『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』─サヨナラ朝夏まなと─

朝夏まなとは、本当に演技の上手い男役だったと思う。それも何と言えば良いのか、あらゆる役柄を「宝塚の男役に落とし込む」のが上手い男役だった。トップスター就任以降、『王家に捧ぐ歌』のラダメス、『シェイクスピア』のウィリアム、『エリザベート』の…

幕が上がっていた日々に思いを馳せて~これまでの舞台作品感想まとめ~

2020年3月30日現在、新型コロナウイルスの流行により、自粛が続いています。ウイルスはじわじわと、しかし確実に人々の肉体、生活を蝕み、物理的にも精神的にもつらい毎日をみんなが過ごしています。自粛の波は立場、肩書きに関係なく暗い影を落としています…

感想:星組公演『眩耀の谷~舞い降りた新星~/Ray─星の光線─』~礼真琴・舞空瞳はどこまで行くのか~

礼真琴。2009年に95期生として宝塚に入団、星組に配属されたのち若くから抜擢が続いた彼がいずれトップスターになるであろうことは、ファンの間では周知の事実だったと言っていいだろう。彼の実力、特に歌唱力とダンス力は際立っていた。2011年星組公演『ノ…

感想:雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』~望海風斗は皇帝だった~

2020年の一作目に、宝塚歌劇団はとんでもないものをぶつけてきた。宝塚らしさと宝塚らしくない要素を兼ね備えたその作品は、トップスター望海風斗の代名詞となるだろう。それが『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』である。およそ一年前の公演『ファントム』は、…

2016年花組公演『金色の砂漠』~明日海りお×上田久美子の美しい世界~

明日海りおというトップスターの魅力は何だろう。得も言われぬ麗しさ、安定感のある歌唱、相手役を包み込む懐の深さ…。そのすべてが唯一無二のものだが、明日海りおの最も突出した魅力は、表現力にあると私は思っている。演技力だけではない、スタイリングも…

2019年の宝塚歌劇を振り返る

2019年、宝塚歌劇団は105周年を迎えた。あの100周年がもう5年も前なのか、あの運動会がもう5年も前なのかと、月日の速さには驚くばかりだ。2019年もあっという間に過ぎ去り宝塚は106年目となる2020年を迎えたが、今回は歌劇団の2019年を振り返りたいと思う。…

2015年星組公演『桜華に舞え─SAMURAI The FINAL─』~去る北翔海莉、立つ紅ゆずる、目覚める礼真琴~

北翔海莉は、稀有なトップスターだったと思う。1998年に84期生として入団、1999年に月組へ配属された直後の『ノバ・ボサ・ノバ』では出世役として知られるドアボーイ役をつとめるなど早くから頭角を現し、新人公演・バウホール公演での主演を経て2006年に宙…

2015年宙組公演『メランコリック・ジゴロ─危ない相続人─』~朝夏まなと×真風涼帆の上手さ~

スターシステムや男役娘役など、「宝塚歌劇」には数多くの特徴がある。その中でも大きな特徴になるのが、「オリジナル作品の多さ」だろう。およそ400人の組子(劇団員)、30人近い座付きの演出家を抱えるこの巨大劇団は、海外ミュージカルの日本初演や原作物の…

感想:宝塚歌劇団星組『ロックオペラ モーツァルト』

傑作。傑作も傑作、大傑作です。11月も終わりを迎えるこの時期に、2019年の宝塚で一二を争う傑作が誕生しました。その名も『ロックオペラ モーツァルト』。紅ゆずる・綺咲愛里の後を継ぎ、星組トップスターに就任した礼真琴・舞空瞳のトッププレお披露目公演…

感想:宝塚歌劇団宙組『El Japón-イスパニアのサムライ-/アクアヴィーテ!! ~生命の水~』

円熟味を増している宙組トップスター真風涼帆さんの本公演4作目が幕を開けました。原作なしのオリジナル作品『エルハポン』とショー『アクアヴィーテ』の2本立てになっています。大野拓史先生によるオリジナル作品ということで、やはり「誰がどのようなキャ…

宝塚友の会は、本当に「意外に簡単」にチケットが取れるのか?

11月も終わりに差し掛かり、2020年がその気配を強くし始めている今日この頃。2019年の観劇生活もあと数回の公演を残すばかりになり、気になったことがあります。 宝塚友の会、全然チケット当たってないんじゃないか? 友の会。各公演のチケットを一般販売に…

感想:宝塚歌劇団月組公演『I AM FROM AUSTRIA』

宝塚歌劇団とウィーン・ミュージカルと言えば、思い出されるのはやはり『エリザベート』でしょうか。初演から大好評を博し、今では「宝塚といえば」と言われるほどの作品として愛されています。その『エリザベート』を生み出したウィーン劇場協会が再びタッ…

狂気覗かす男役─表現者 明日海りお─

さる2019年9月30日、ひとりのタカラジェンヌが宝塚大劇場を卒業した。花組トップスター、明日海りおである。彼は2003年『花の宝塚風土記/シニョール・ドン・ファン』で初舞台を踏み、月組に配属された。その後2008年のバウ・ワークショップ『ホフマン物語』…

感想:宝塚歌劇団花組『A Fairy Tale─青い薔薇の精─/シャルム!』

「トップ・オブ・トップ」こと花組トップスター明日海りおのサヨナラ公演が遂に始まってしまいました。「トップ就任は余命宣告」ということは重々理解していたつもりではありますが、やはり寂しい。この公演を劇場で観ることが出来たという幸運に感謝しつつ…

2018年花組公演『MESSIAH─異聞・天草四郎─』~原田諒の挑戦~

宝塚歌劇団にはすみれコードというものがある。コードという名前の通り、これはある種の「暗黙のルール」であって、劇団だけでなくファンも守るべきものということになっている。例えば組子の本名や年齢が公表されることはない。そして「すみれコード」は組…

ライブレポ :七海ひろき One-man LIVE『773 GALAXY』

七海ひろきが宝塚歌劇団を退団してからもう5ヶ月が経つ。彼、いや彼女が退団後も活動を続けてくれるのかという不安は、私だけが抱いていたものではなかっただろう。およそ400人という組子を誇る宝塚歌劇団にあって、退団後も精力的に芸能活動を続ける組子は…