感情の揺れ方

それでも笑っていたい

雑記

2023年を振り返って

命の果てに至るまで、誰をも幸福と呼ぶなかれ 2023年を振り返るとは言うものの、やはり何も為すことがなかったという一言に尽きる。愛するものを愛し続けるために、血を流さなければならなくなった。Twitterはやめた。人よりも努力をすることが悪徳と見なさ…

真風涼帆・潤花の退団によせて

ダニー・オーシャン、シャーロック・ホームズ、そしてジェームズ・ボンド。これらの役をたった一人の俳優が、それも「宝塚歌劇のトップスター」として演じるということの重責、そして困難は想像するにあまりあるが、真風涼帆という舞台人は常に最高のパフォ…

2022年の観劇生活を振り返る

maholo2611.hatenablog.com 2022年、このエントリーの結びで述べた願いは残念ながら達成されず、新型感染症は収まることなく舞台演劇、動員系エンタメの脅威となったままです。宝塚歌劇団も長期に渡る休演があり、その他劇場で上演されるはずだった演目が中…

「推し」が生む「ファン」の変化について

第一章「『推し』という言葉に伴う変化」 第二章「変化の内実」 第三章「『支援』の在り方と飛躍する『ファン』」 第四章「『ファン』の『スタッフ化』が生む弊害』 第一章「『推し』という言葉に伴う変化」 「推し」あるいは「推す」という言葉、概念が市民…

「正しさ」の誘惑についての所見

第一章「『correct』に至る『collect』」 第二章「『正しさ』への欲望」 第三章「『考察』とはなにか」 第一章「『correct』に至る『collect』」 およそ現代の日本において、「コレクト」という言葉を耳に、あるいは目にしたときに連想されるのは「コレクタ…

2021年の観劇生活を振り返る

新型感染症が猛威を振るい続ける2021年、舞台演劇ひいては動員を伴う興行は未だ苦境に立たされています。それでも関係者全員が工夫を重ね、2020年と比べればどうにか上演に至った公演は増えてきました。特に二つの常設劇場、固定のスタッフ陣を誇る宝塚歌劇…

花組二番手不在問題について

花組トップスター・柚香光の本公演三作目となる『元禄バロックロック/The Fascination!』が11月6日に開幕した。花組と月組の誕生100周年を祝うこの作品が柚香光・星風まどかという新トップコンビのお披露目作品でもあることは非常に喜ばしいことだが、初日の…

望海風斗・真彩希帆の退団によせて

宝塚歌劇団雪組のトップコンビ、望海風斗・真彩希帆が2021年4月11日の『fff─フォルティッシッシモ─/シルクロード~盗賊と宝石~』東京宝塚劇場公演千秋楽をもって退団する。男役・望海風斗と娘役・真彩希帆。宝塚歌劇団の歴史に大きな足跡を残したふたりに、…

2010年代宝塚歌劇オリジナル作品お芝居5選&ショー10選

2020年、新型感染症の流行が拡大し、宝塚歌劇はもちろん演劇界全体が大きな影響を受けました。披露されることのなかった演目の数たるや、もはや想像することも出来ません。エンターテインメントが停滞した年。それが2020年でした。劇場に足を運ぶことが不可…

ラーメンズ第15回公演『ALICE』

モーフィング。モーフィングとは、時系列的に連続するふたつの画像、つまり変化前の画像Aと変化後の画像Bがあったとして、その間に存在する変化中の状態をコンピューターグラフィックスで自動的に生成してしまう技術のことを指す。例えば真顔の画像と笑顔の…

さよなら西武大津 ──大津から百貨店が消える日──

滋賀県大津市にある西武百貨店が、2020年8月31日をもって閉店する。1976年11月16日の開店以降、44年の長きに渡ってにおの浜の地で経営を続けてきたが、折からの経営不振でついに閉店することになってしまった。 西武、そしてそのすぐ近くにあったパルコは、…

羽海野チカ『ハチミツとクローバー』~才能を持ってしまった者たちの苦悩~

羽海野チカは「才能を持ってしまった者」の苦悩を描くのが上手い。『3月のライオン』の主人公桐山零はまさしく将棋の才を与えられて"しまった"少年だ。『3月のライオン』が「才能を持ってしまったがゆえに苦しむ者たち」を描く物語であるなら、「才能を持っ…

幕が上がっていた日々に思いを馳せて~これまでの舞台作品感想まとめ~

2020年3月30日現在、新型コロナウイルスの流行により、自粛が続いています。ウイルスはじわじわと、しかし確実に人々の肉体、生活を蝕み、物理的にも精神的にもつらい毎日をみんなが過ごしています。自粛の波は立場、肩書きに関係なく暗い影を落としています…

現代における「神話」と「啓蒙」──『啓蒙の弁証法』より

はじめに 「神話」。ギリシア神話あるいは北欧神話、ゼウスやオーディンという言葉から想像されるのはなんだろう。現代において、こと現代日本において神話は娯楽として消費されている。マンガ、ゲーム、アニメ…。例えば森鷗外が「今の教育を受けて、神話と…

2019年の宝塚歌劇を振り返る

2019年、宝塚歌劇団は105周年を迎えた。あの100周年がもう5年も前なのか、あの運動会がもう5年も前なのかと、月日の速さには驚くばかりだ。2019年もあっという間に過ぎ去り宝塚は106年目となる2020年を迎えたが、今回は歌劇団の2019年を振り返りたいと思う。…

2019年の観劇生活(主に宝塚)を振り返る

2019年の観劇生活を納めました。正確にはまだ22日にタカラヅカスペシャルのライブビューイングが残っているのだが、一年の振り返るをするのに大きな影響はないように思う。ということで、2019年の一年間で観た作品をマイベストにまとめたい。ランキングでは…

宝塚友の会は、本当に「意外に簡単」にチケットが取れるのか?

11月も終わりに差し掛かり、2020年がその気配を強くし始めている今日この頃。2019年の観劇生活もあと数回の公演を残すばかりになり、気になったことがあります。 宝塚友の会、全然チケット当たってないんじゃないか? 友の会。各公演のチケットを一般販売に…

設楽統の妄想ドキュメンタリー

ドキュメンタリーが好きだ。『情熱大陸』、『セブンルール』、『アナザースカイ』、『プロフェッショナル』、『ドキュメント72時間』。ドキュメント番組には、紛れもない「人間」が映っている。それもフェイタルな「人間」が。致命的かつ重大な、宿命づけら…

狂気覗かす男役─表現者 明日海りお─

さる2019年9月30日、ひとりのタカラジェンヌが宝塚大劇場を卒業した。花組トップスター、明日海りおである。彼は2003年『花の宝塚風土記/シニョール・ドン・ファン』で初舞台を踏み、月組に配属された。その後2008年のバウ・ワークショップ『ホフマン物語』…

2泊3日東京旅行~宝塚やらコミケやらコスホリやら~

8/10日から8/12日までの3日間、東京を旅行した。主な目的はコミックマーケット96へのサークル参加で、そこだけを切り取れば旅行というよりは本を売りに行ったということになるのだが、せっかく東京に行くのだからと旅程を伸ばして色々なイベントに足を運んだ…

コミックマーケット96にサークル参加します

記事タイトルのとおり、2019年8月9から4日間にわたって開催されるコミックマーケット96に、サークル参加をします。会場は東京ビックサイトで、私が出展するのは3日目の8月11日。スペースは西4ホールB-17b。自作の小説を頒布する予定です。詳細はそれぞれ以下…

待ちに待った組替え発表、しかし

昨日、宝塚歌劇団公式ホームページにおいて、組替えが発表された。正直、宝塚のファン歴が長い人なら規模の大小はあれどそろそろ発表されるだろうなとは思っていただろう。星組と花組の次期トップスター発表、そして花組娘役の大量退団などきっかけになりそ…

紅ゆずる・綺咲愛里の退団によせて

紅ゆずる・綺咲愛里の退団公演、『GOD OF STARS─食聖─/Éclair Brillant』が7月12日に宝塚大劇場で初日を迎えた。この公演の大千秋楽、すなわち10月13日の東京宝塚劇場公演を持って、二人は宝塚を去る。紅ゆずるは男役ではなくなり、綺咲愛里は娘役ではなくな…

花組次期トップスター、そして退団者の発表

先日、ついに花組の次期トップスター、つまり明日海りおの後任が発表された。大劇場公演の集合日当日、そして翌日にも発表されなかったということもありファンには待望の発表だったのではないかと思う。もちろん私もそういうファンの一人だ。 肝心の次期トッ…

私たちは本当に不良品でないのか──「連続性」という視点──

倫理学の話をしよう。大学で4年間哲学を学んだとはいえ、このブログでカルチャー以外の話をするつもりはなかった。だが、それでも書かずにはいられなかった。きっかけは、このツイートだ。 凶悪犯罪者は人として不良品。ひきこもりが不良品?誰の意見? — 松…

舞台に進出するアイドルたちについて

まず始めに、このエントリーは多分に私の主観を含んでいること、普遍的な価値の話はしていないということを断っておきたい。 ここ数年、アイドルの、特に乃木坂46メンバーのミュージカル進出が盛んになっている。私はそれを決して悪いことだとは思わないし…

文学フリマ金沢レポート

さる4月20日の土曜日に、文学フリマ金沢にサークル参加した。この日のざっくりした感想は週間日記のエントリーで書いたけれど、今回はもう少ししっかりと振り返りたいと思う。私は今つたないながらも戯曲や小説を書いたりしているが、カクヨムやピクシブに投…

曜変天目と信仰

花冷えのする4月の頭に、ど田舎の山中にぽつりとたたずむ美術館へ国宝を見に行きました。今年の滋賀県は4月といってもまだまだ寒く、桜も例年より開花が遅れています。今回足を運んだMIHO MUSEUMがある信楽は県内でもかなり寒い&標高の高い山中なので博物館…

仙名彩世 ──戦慄すべき娘役──

仙名彩世という娘役がいる。正確には、まだいる。彼女は2008年に宝塚歌劇団に入団し花組に配属され、2017年に明日海りおの相手役として花組トップ娘役に就任した。そんな彼女が、2019年4月28日、宝塚歌劇団花組公演『CASANOVA』東京宝塚劇場公演千秋楽を持っ…

宝塚の人事

元号が発表されてしまいました。いざ発表の当日になってみるとテレビはその話題一色で、なんだかお祭りみたいな感じが。交通規制の敷かれた大都会の大きな道を走るの、楽しそうでうらやましい。 さて、2019年はもうちょっとブログを更新しようなんてつもりは…