感情の揺れ方

それでも笑っていたい

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

感想:月組公演『DEATH TAKES A HOLIDAY』

「苦しまなければいいということでもないのが厄介ですな。 苦しみを知らずに愛を知るということができるでしょうか」 ──ダリオ・アルビオーネ男爵 東急シアターオーブで上演された月組公演『DEATH TAKES A HOLIDAY』は、アルバート・ガゼーラ氏による戯曲を…

映画評:是枝裕和監督作『怪物』

坂元裕二がまさか世界的な評価を得ることになるとは思ってもみなかった。カンヌで賞を取るより前から、是枝監督が坂元脚本で映画を撮るということで気になっていたこの『怪物』。ある出来事に関するひとつのシークエンスを三つの視点──親・教師・子供の視点─…

映画評:トッド・フィールド監督作『TAR』

映画の評価が「俳優の演技・映像・演出・設定」だけで決まるとしたら、この『TAR』はまごうことなき傑作だった。そう断言できるほどにケイト・ブランシェットをはじめとした演者のパフォーマンスは素晴らしいものだったし、執拗なほどに徹底した同じモチーフ…

真風涼帆・潤花の退団によせて

ダニー・オーシャン、シャーロック・ホームズ、そしてジェームズ・ボンド。これらの役をたった一人の俳優が、それも「宝塚歌劇のトップスター」として演じるということの重責、そして困難は想像するにあまりあるが、真風涼帆という舞台人は常に最高のパフォ…