感情の揺れ方

それでも笑っていたい

週間日記(2020/9/21~9/27)

 9/21(月):敬老の日。4連休の3日目。世間的には観光地に人出が戻りつつあるらしい。今日は結局一日家にいて、結局何もしていない。そして涼しい。家の中にいても涼しい。高くて水色の空には薄い雲がかかっている。うろこ雲を見るともう秋だなぁと思う。入道雲はどこかへ行ってしまった。午前中はぼんやりと過ごす。とりあえずTVerで「テレビ千鳥」を見た。ノブの被写体力が強くて、なによりそれが面白い。『トレインスポッティング』や『パルプフィクション』のポスターをパロディしていくところにはちょっと「クイズ・ノブ違和感」っぽさがあった。そのままTVerで「あちこちオードリー」へリレー。フワちゃんとオードリーのトークはちょっと異色な感じがしたけれど、しっかり面白かった。昼から家のことをする。掃除機をかけながら、「バナナムーン」を聞く。今週は録音だった。録音放送のときは絶対におじさんの体についての話をしているような気がする。おじさんラジオ。午後はまたぼんやり。夕方、また手が震えだす。最近出てくるこの手の震えはなんだろう。カフェインを摂りすぎるとこうなることがあるのだが、今日はそこまでコーヒーを飲んだりしたわけではないので、原因がよく分からない。あまり集中力がなく、ネットでNBAの試合結果を見ているとレイカーズナゲッツに連勝していた。Youtubeでハイライトを再生するとADことアンソニーデイビスブザービーターでスリーを決めていた。なんだか泣けてきた。この試合でレイカーズコービー・ブライアント追悼の一環で特別デザインのマンバジャージを着用していて、それも相まって泣いてしまった。コービーが乗り移ったようなADのパフォーマンスに泣いてしまったという話です。夜は録画していた先週の「刑事コロンボ」を見る。めちゃくちゃな悪人にはカッコいいスーツを着て欲しいなと思います。そして寝る前にまたTVerで「探シタラTV」を見る。次回放送からリニューアルされるのだが、出来る限りこのフォーマットで続いて欲しい。今日はずっと何かを見たり聞いたりしている一日だった。明日からはアウトプットもしなければいけない。

 

 9/22(火):4連休の最終日。太平洋上の熱帯低気圧は台風に発達して、列島を直撃する可能性があるらしい。今年は台風の数が少ない気がする。ものすごく主観的な話なので、実際にどうかは知りません。知らんけど、という関西人特有のあれです。朝ご飯を食べながらスカイステージを見る。2006年の公演にもなると、男役はそこまでではないが、娘役はもう知っている人がほとんどいない。知っている人というか、今も現役の方がほとんどいない。娘役という存在の儚さを感じてしまう。土曜日に雪組公演のライブ中継を見に行ってからというものまったく外に出ていなかったので、いや流石にダメだろうと思って昼前から散歩に出た。天気が良く、風も気持ちいい。日陰に入ったときの風の冷たさはもう秋のそれだった。道中で野良猫に出会った。2匹。どちらも綺麗な猫だった。元気に過ごして欲しい。気分もいいしお腹が空いてきたので、途中でお店に入ってお昼ご飯を食べることにした。パスタ。最近は本当に麺類が多い。でもまだ止まらない。行けるところまで行きます。メニューにそう表記されているのだから当たり前なのだが、石焼パスタを頼んだらアッツアツのグッツグツになったパスタが来た。しかもオイル系のパスタを注文したので、ちょっとびっくりするくらい熱かった。口の中がズタズタになったけれど、美味しかった。

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グッツグツ。

結局2時間から3時間くらい経って帰宅。午後はゆっくりぼんやり過ごす。正直すこし疲れていたので昼寝をした。夕方くらいから作業を進める。夜は早めに入浴を済ませて、全力で「バナナサンド」のスペシャルを見た。もうめちゃくちゃ面白い。3時間で面白くないところがなかった。東京ホテイソンのネタを途中で止める市川猿之助、ずっと文句を言いながら高尾山に上るサンドウィッチマン富澤、木梨憲武おすすめのお店がことごとく閉まっている設楽と伊達。すねバーンのプリミティブな笑い。始終面白かった。寝る前にすこし作業を進めて、土曜日に見た雪組公演のエントリーを書いた。最後に愛は勝ちます。

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  9/23(水):本州に直撃する予報だった台風は進路を変えたらしい。被害が少ないに越したことはない。9月の台風といえば、学部一回生のころを思い出す。一般教養で「アキレスと亀」や「モンティ・ホール問題」といったパラドックスやちょっとした科学の問題を扱う講義を取っていたのだが、秋学期中盤に台風の影響で講義が二週連続で休講になってしまい、三週間ぶりに開講された日に教授が開口一番「二週連続でなくなるともう本当にやる気がなくなるね」と言ったのが忘れられない。そんな開けっぴろげで良いんだ、と思った記憶がある。あとじゃあ単位くれよ、とも思った。大学にいた教授陣ってやっぱりぶっ飛んでたなと切に感じます。朝ご飯を食べながら、録画していた「アメトーーク」を見る。天竺鼠の面白さ。天竺鼠を初めて見たときの記憶もしっかりと残っていて、川原が延々「ショートコント」とつぶやきながら動き回るネタをテレビで見たのが初めましてだった。今思えば天竺鼠もそれを許した番組もかなり尖っているな。なんなんだ関西ローカル。「有吉ゼミ」で瀬下を見る日が来ることを願ってやまない。昼前には外出。バイトではないが、電車に乗って京都へ。連休明けに合わせて夏休みを取った学部の同期が京都へ遊びに来ていたので、合流してお昼ご飯を食べた。ここ最近の麺類続きを知ってくれていて、「麺類はやめようか」ということになった。ありがたい。麺類を避けてくれたこと自体ではなくて、知ってくれていたことが嬉しい。これは人付き合いの真理のひとつです。写真を撮り忘れていたが、海鮮ユッケ丼を食べた。美味しい。白いご飯って美味しいですね。丼だったけど。そのあとは喫茶店に移動して、夕方まで話し込む。同期の話や仕事の話などなど。やっぱり学部の同期と話すのは感覚が違って楽しかった。JRの遅延に巻き込まれながら帰宅して、夕方は作業を進める。すこしエンジンがかかってきた。宝塚はすごい。やっぱり私のエンジンは舞台作品が握っている。積み上げていきましょう。夜はテレビを見ながらぼんやりと。寝る前にもうすこし作業をしてから寝たい。

   

 9/24(木):今日はずっと外に出ている一日だった。寝ている時間を含めても、家にいる時間よりも外にいる時間の方が長かった。いつもより早めに起きて、ささっと朝ご飯を食べて、9時には家を出る。ここ最近でも屈指の早さ。木曜朝恒例の「おにぎりあたためますか」も見ていない。由々しき事態だ。車を走らせて、高速に乗る。名神高速道路を走っていると栗東トレセンから来たのであろう競走馬を乗せたトラックが自分の車の近くに来ることがあるのだが、もう本当にやめて欲しい。前にも後ろにも横にも来て欲しくない。何かあったら人生が終わってしまう。ひやひやしながら新名神高速道路に乗り換えて(この表現であっているのだろうか)、三重県の方へ向かう。途中で寄った土山SAはまだ時間が早かったのかあらゆる棚がスッカスカだった。トイレに行き飲み物を買って、また車を走らせる。新名神を名古屋方面に進んでいるところで、非常事態が起きた。車のナビが馬鹿になってしまったのだ。そこまでは順調に導いてくれていたのに、ある地点で急に沈黙し、高速道路を走っているのに一般道を走っていることになった。おそらく、すこし前に開通した新名神伊勢湾岸自動車道を繋ぐ箇所がまだナビに登録されていないのだろう。5年も乗っていると、ナビの更新も滞ってくる。急にポンコツになったナビが右左折をガンガン指示してくるのだが、それのせいでパニックに拍車がかかる。結局二択を間違えて、湾岸自動車道じゃない方の長島ICで降りてしまった。ここで合ってますか?みたいな渋い道を走り、なんとか目的地のジャズドリーム長島に到着。予定よりはすこし時間がかかってしまったけれど、到着したので万事問題なし。アウトレットのセールに合わせて、小旅行気分の買い物に来たのだ。なんだかんだでいい時間になったので、とりあえずお昼ご飯を食べることにした。もう説明は省くけれど、USJのダイナー風レストランみたいなシステムのダイニングに入った。行ったことがある人なら分かると思います。あそこです。名古屋にも近いし…ということで「矢場とん」を食べた。初の矢場とん。ファースト矢場とん。もっと塩辛いのかなと思っていたら全然そんなことはなくて、めちゃくちゃ美味しかった。また食べたい。お腹も満たされたところで、買い物に入る。びっくりするほど歩き回る。家族の買い物と、自分の買い物と。今日は絶対にローファーを買いますという気持ちで来ていたので、いくつかのお店を見て回った。最終的に日本製のかわいいものを買えたので、満足。海外製の革靴の先が尖っている感じ、なんなんでしょうか。夕方くらいに出発して、帰路に就く。帰り道でもカーナビがおかしくなったけれど、もう行きで慣れているので大丈夫だった。高速道路を走っているのに「この先踏切があります」と言われたのは面白かったけれど。一時停止なんかしたらすごいことになっちゃうよ。サービスエリアで休憩をはさみつつ、帰宅する。もう真っ暗だった。すっかり疲れてしまったので、夜は特に何をするでもなく早めにベッドに入った。

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矢場とん

 9/25(金):疲れていたのか、ほとんど夢を見ることもなくすっきりと起きることが出来た。朝から雨が降っていて、気圧が低かったことも影響しているかもしれない。二度寝をしそうになったけれど、宅急便を午前中の指定にしていたのを思い出して飛び起きた。インターフォンの履歴には何も残っていなかったので、どうやらセーフ。安堵していたら黒猫がやって来たので、本当にギリギリだったらしい。雨で濡れてしまって…と言われたけれど、配達してもらえるだけでありがたい。中身には何も問題がなかったし。それからゆっくり朝ご飯を食べた。なんとなく録画していた先週の「嵐にしやがれ」を見る。今回のスペシャルはゲストが少なく、嵐のメンバー同士がロケをした映像がメインだった。ファンとしては5人が楽しそうにしているところを見られればいいので、ありがたい。あとは平成ノブシコブシ吉村。午前中のうちに家のことをする。まずは「ハライチのターン」を聞きながら掃除機をかけた。企業ックスフレンドのくだりはもう古典落語みたいになってきている。だいたい昼前に掃除などが片付いたので、結局二度寝に入った。雨が降っている日の二度寝はよい。静かだし、気圧が低くて頭もボーっとしているし。 タガが外れると一日中寝てしまうのが雨の日です。昼過ぎに起きて、ぼちぼちと作業をする。集中力はあまりなく、進捗もほとんど。夕方になり、外出する。京都へ。外出が続き、そろそろ体力がなくなってきているような感覚がある。書店で友人と合流し、ぼちぼち本を見た後、晩御飯を食べに行った。早めの集合だったけれど、あっという間に時間が過ぎていった。河岸を変えて二軒目、というのも久しぶりにやった。美味しいお酒と楽しい話があれば人生は満たされる、と本意気で思うことが出来ればいいのに。日付が変わるくらいに帰宅。もう完全に体力がなくなった。外出ポイントがゼロ。入浴だけはしっかり済ませて、失神するように眠った。

 

 9/26(土):寝てもあまり疲れが取れていないような気がする。どろっとした疲労感。だましだましやって行きましょう週末編。ぼんやりと朝ご飯を食べる。ファミリーマートの和風たまごサンド(曖昧)が美味しかった。今週の「あさパラ」はしっかりと通常運転。下世話なニュースが多い週の方が面白い。関西ローカルとはいえ地上波のテレビ番組だぞ、みたいな発言を楽しめる。いいのか?いいのか。午前中はぼーっと過ごして、昼前から外出。しっかりした外出ではなく、近場のお店をいくつか回った。まずはお昼ご飯にハンバーグを食べる。ハンバーグで白いご飯を食べると、本当にこんなことをして大丈夫ですか?なんて気持ちになる。伝わっていないと思いますが、言葉とは本来読まれないものなので大丈夫です。そこからは薬局に行ったりして帰宅。フロスと化粧水を買い足す。消耗品筆頭、化粧水、フロス、髭剃り用ジェル。顔周りが多い。疲れなのか食後のあれなのか、睡魔に襲われたので昼寝をした。昼寝をしてしまうとタイマーをセットしてもそれを無視して爆睡してしまうことが多いのだが、今日はそんなことにならなかった。むしろ「うわめちゃくちゃ寝た」と思って飛び起きたら、一時間も経っていなかった。ベロベロに酔ったときのやつじゃん。夕方からはぼちぼちと作業をする。TVerで「テレビ千鳥」を見ながら。夜に放送していた「キングオブコント」はゆっくり見るために録画している。週明けくらいに見られればいい。集中力がないので、TVerで「ぴったんこカンカン」を流しながら今日の日記を書いている。酔っぱらった藤井隆は最高だ。平常時でも最高だけれど、なお素晴らしい。大根おろしのアレンジに関して不用意な発言をした安住アナを詰めるときも、新垣結衣のためだけにソーシャルディスタンスを超えて「ホットホット」を踊るときも、本当に最高です。ザ・エンターティナー。なんだか胃腸に不穏な雰囲気があるので、さっさと寝ます。

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ハンバーグ

 9/27(日): 太ももの付け根を寝違えることってあるんでしょうか。寝違えるのって基本的に首じゃないんですか?起き抜けで立ち上がったときから右太ももの付け根に微妙な痛みがあって、変な歩き方になった。寝相まで自分を傷つけるようになったら終わりです。朝からの訃報もあいまって、どんよりとした気分で一日が始まった。こういうときはなるべくSNSを見ない方がいい。SNSは本当に、ダメなときがある。何も見たくないし、何も聞きたくない、SNSでは。「特別な夏」だの「新しい生活様式」だの耳障りだけが良い言葉に対しては「こんな理不尽な状況は誰も望んでねぇんだよ」という態度を取り続けたいと思います。宣言です。午前中はぼんやりとしながら、そういうことを考えていた。昼前には外出する。半袖を片づけてアウターをもう一枚羽織るまでの間、それ一枚で着る長袖の服を探すためにユニクロへ。秋っぽい色の服を買った。外は涼しくて、長袖のシャツを着てちょうどいい。しばらくこんな気候が続いて欲しい。今日はとくにスターバックスで飲み物を買ったりすることもなく、帰宅。昼食は軽めに山かけそばを食べた。軽いのか?いや、ねばねばした食べ物は基本的に軽い。午後はすこし作業をした。冷静になって考えてみると、やらなければならないことがめちゃくちゃある。一体どうしたもんだろう。久々のどうしたもんかいのぉ状態だ。TVerで見た「あちこちオードリー」で若林さんが言っていた「7番セカンドっていう役割がある」話は身につまされるけれど、100があるなら100が欲しいと思ってしまう気持ちもある。どうしたもんかいのぉ。夜は「バナナマンのせっかくグルメ」を見たり、「イッテQ」を見たり。色々なことを考えながら寝る。

 

 

感想:雪組公演『NOW! ZOOM ME!!』

 新型感染症の流行に際し、あらゆる舞台の幕が閉じられてからもう半年ほどが経つ。東西に常設の専用劇場を擁し、100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇団も例外ではなかった。本拠地の宝塚大劇場も、東京宝塚劇場も、公演中止を余儀なくされた。席数削減、オーケストラ生演奏休止、出演人数までも絞った上で公演が再開されたのは7月になってからだった。一人の宝塚歌劇ファンとして、再び幕が上がること、タカラジェンヌタカラジェンヌとして再び舞台に立つ日が来たことはもちろん嬉しかったが、私の心に高揚感はなかった。エンターテインメントそのものが「エンタメは仕方ないよね」という空気の中で窮地に立たされ、悲鳴をあげることすら許されないまま消えてしまったものが、人たちが、確かに存在する。そんな何かの、誰かのために出来ることが自分にはあったのではないか?「エンタメが好きなんです」と公言し、行動してきた自分が、宝塚歌劇の公演が再開されることをただ喜んで受け入れていいのか?そういう気持ちがあった。そしてなにより、不安だったのだ。今の宝塚が、しっかりと宝塚をやれるのかが。いくつもの制約のもとで打たれた公演が、私の求める宝塚であるのかが。この閉塞感を抱いたまま宝塚を見て、「不当に失望」してしまわないかが不安だった。けれど、ライブ中継とはいえ、およそ半年ぶりに見た宝塚は宝塚のままだった。

 

 雪組公演『NOW! ZOOM ME!!』は本来なら文京シビックホール神戸国際会館で行われるはずだったが新型感染症の影響で中止になり、宝塚大劇場東京宝塚劇場で上演されることになった望海風斗のコンサート。作・演出は齋藤吉正。昨年退団して元花組トップスター明日海りおはあるインタビューで宝塚の魅力を聞かれ「いい意味で昭和っぽいというか、すこしダサいところ」と答えていたが、この『NOW! ZOOM ME!!』はまさにその「昭和っぽさ」が前面に押し出された公演だった。そして何より、宝塚だからこそ通用する力技というのか、そういうパワフルさに満ちていた。

   

 第一幕、まずはあれよあれよという間に場面が進んでいくのだが、唐突に始まった宇宙人との戦いにびっくりしてしまったのは私だけではないと思う。国民的探偵アニメのテーマが流れる中、宝塚の街で宇宙人との争いが巻き起こるのだが、結局この風呂敷は畳まれない。でもそれでいいのだ。望海風斗の歌う「ウィンクでさようなら」がまた聴けたのだから。つづく場面では演者がバブリーな衣装に身を包み、歌謡曲やポップスを歌い継ぐ。ものすごく齋藤先生っぽさがある場面だった。彩凪翔さんの「こんな格好なのにカッコイイんだ感」と沙月愛奈さんのしっくり感がすごいので、東京公演を見る予定がある方は注目して欲しい。 第一幕はあっという間に終わってしまった。久しぶりに見る宝塚のパワーにやられてしまったのかもしれない。

 さらに驚くのが第二幕で、8割くらいは麗しい演者たちの小芝居で構成されている。まず最初に流れるのは『金八先生』のオープニングをパロディした映像なのだが、その再現度が凄まじい。どうしてそんなに本気なんですか?と思ってしまうくらいには本気のパロディ映像が流れる。宝塚、そういうとこあるぞ。金八パロディが終わったあとは望海風斗が主演を演じてきた作品をミックスした芝居パート。タカラヅカスペシャルで数年前まで行われていたあれ、と表現すれば分かりやすいかもしれない。クスクスとこちらが笑っている間に小芝居が終わり、どうなるかと思っていたら真彩希帆が現れてさらに驚く。私が観たのは大劇場千秋楽のCパート、真彩希帆がゲスト出演する日だったので、どういう風に登場するかと考えていたのだが、ものすごくぬるっとした登場だった。そして流石と言うべきか、真彩希帆はその圧倒的な歌唱力で劇場の雰囲気をすべて持っていく。最初に披露した「You Raise Me Up」は、圧巻と表現する他なかった。この自粛期間を経て、ただでは復帰しないところに彼女の凄みを感じる。続く望海風斗とのデュエット、MCも素晴らしかった。過度なネタバレになるように思うのでその他の詳細な曲名については言及を避けるが、ここから終幕まで本当に素晴らしいパフォーマンスが続く。

 宝塚ってこういうことだったなぁと、観る者に改めて思わせてくれる、とても楽しいコンサートだった。個人的に印象に残っているのは第一幕の中盤で彩凪翔さんが「最後に愛は勝つ」を歌った場面。世界がこんなことになっている中で、タカラジェンヌが「最後に愛は勝つ」と歌うことの重さ。涙がこぼれた。

夜空に流星をみつけるたびに 

願いをたくし ぼくらはやってきた

どんなに困難でくじけそうでも

信じることさ 必ず最後に愛は勝つ

     KAN「愛は勝つ

 

 

週間日記(2020/9/14~9/20)

 9/14(月):なんだかもう完全に涼しい。昨日の晩は(あれ?いけるか?)と思ってクーラーを切り窓を開けて寝てみたのだけど、普通に大丈夫だった。特に目が覚めるということもなく、朝を迎えることが出来た。季節が急にギアを上げている。朝ご飯を食べながら、録画していた「かりそめ天国」を見る。有吉とマツコのトークは延々聞いていたいし、有吉が何かを買うところも延々見ていたい。それからTVerで「あちこちオードリー」へ。ロバートのフリートークが段々コントとして練られていく様子がすごい。直近の「ドリームマッチ」を思い出してみると、ロバート秋山と千鳥ノブのコンビがチャンピオンに輝いている。あれは面白かった。ひとしきり笑ったあと、気合を入れて家のことをする。「バナナムーン」を聞きながら掃除機をかける。先週の放送で「バナナムーン」は放送700回を迎えたらしい。それを記念して…というわけではないだろうけれど、二人は終始昔の話をしたり、ヒムペキを振り返ったりしていた。「渚にまつわるエトセトラ/PUFFY(お父さんがいるver.)」「リンゴの唄/並木路子(リンゴ飴ver.)」「EXCITE/三浦大知(春日ver.)」が大好き。びっくりするくらい笑った。 最寄りの書店が開く時間を待ち、ジャンプを買いに行く。いや、『チェンソーマン』。マキマ、なんなんだあんた。黙示録の四騎士を引用しているし、あんたもそのひとつじゃないか。これ、ネタバレになってませんかね。大丈夫でしょうか。昼前にまた出かける。今度は車に乗って、大津駅まで友人を迎えに行った。ドライブでもするか!と昨日の夜急遽決まったイベント。とりあえずお昼ご飯を食べることになり、いくつかのお店を回ったのだが、どこもかしこも定休日かスープ売り切れになっていて、結局私がよく行く近所のお店でラーメンを食べた。自分がよく行くお店のご飯を友人が美味しいと言ってくれると、なんだか嬉しい。

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チャーシュートッピング、麺大盛

 その後は高速道路に乗って、長浜へ。黒壁スクエアなど、いわゆる長浜という場所をぶらぶらする。初めて濡れおかきを食べた友人がめちゃくちゃ不機嫌になっていて面白かった。濡れおかき、よくわからない食べ物ランキング上位に食い込んでくるかもしれない。太陽が傾いてきたころに車に乗って、今度は伊吹山へ向かった。今日の目的は長浜ではなくて、伊吹山の上から見る景色なのだ。日没に間に合うか?というくらいの時間に伊吹山ドライブウェイへ到着。大丈夫かなぁと思いながら山道を登っていくと、どんどん霧が出てくる。まさかフォグランプを本当に霧の中で使う日が来るとは思わなかった。伊吹山の上から見る景色はめちゃくちゃ綺麗で、自分の足で登山をする人の気持ちがすこし分かったような気がする。問題は帰りで、行きよりも霧が濃くなり、本当に『ミスト』の世界だった。めちゃくちゃ怖い。二度とあんな状況で車の運転をしたくない。すっかり暗くなってからまた高速に乗り、友人を駅まで送り届けて解散した。帰宅してからは運転の疲れがドッと出てしまい、失神するように就寝。

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岐阜県

 

 9/15(火):疲れのおかげなのか、非常にスッキリとした目覚め。やっぱり快眠には適度な睡眠が必要なのだろう。今日は朝ご飯を食べながら先週始まったTBSドラマ『キワドい2人』を見る。うーん。どうだろう。田中圭のスーツ姿がカッコイイ。これからに期待。1話ではまだなんとも言えない。ただ『MIU404』も1話の時点ではああなると思っていなかったので、まだまだ本当に分からない。午前中から車に乗って外出。今日はぼちぼちと買い物する。車を草津近鉄百貨店に停め、とりあえずお昼ご飯を食べる。駅の近くに最近オープンしたラーメン店へ。二日連続のラーメンだが、同じお店の同じメニューというわけではないので全然食べられる。麺類強化週間。滋賀にはあまりない「綺麗な醤油ラーメン」で、美味しかった。背脂が浮かんだ醤油ラーメンも美味しいけれど、こういうラーメンを食べたくなることもある。

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特製醤油ラーメン

 それから近鉄に戻り、東急ハンズやツタヤをうろついた。こまごましたものを買い漁る。ピッタマスクが売ってる!と思って手に取ったら、子供用だった。こういう状況になってからほとんど見かけることがなくなったような気がする。家にストックしている分は貴重すぎてまだ使えていない。スターバックスで飲み物を買い、帰路に就く。そういえば昨日も多賀SAのスターバックスに寄ったので、二日連続だ。女子大生みたいになっている。それかノマドワーカーか。帰宅してからはスカイステージを見ながらボーっとしたり、作業をしたり。夜に見たネタ番組がなんだか夢を見ているような画面になっていて良かった。話は変わるけれど、学部時代の先輩にすすめられて見たシソンヌのコントがめちゃくちゃ面白かったので、ここにも書いておきたい。「飲み会のあと」というコントなのだが、「この題材でその方向には行かず、なおかつ面白いんだ」という驚きがある。「有吉の壁」を見ていても感じることだが、シソンヌはその丁寧なキャラクター造形と演技がすべてフリになっていて、ものすごく面白い。ぜひ見て欲しい。

youtu.be

 

  9/16(水):昨日は寝る前にTVerで「バナナサンド」を見た。バナナマンとオードリーの番組しか見ていないような気がする。あと千鳥。毎週聞いているラジオはバナナマン、ハライチ、オードリー。典型的だなと思ったそこのあなた。その通りです。「バナナサンド」はゲストがブラックマヨネーズで、伝説になっている2005年のM-1グランプリの漫才をすべて書き起こし「どこがどう面白いのか」を本人とバナナマンサンドウィッチマンで話し合うというものすごい企画だった。ブラックマヨネーズのネタの作り方や、バナナマンキングオブコントでミスをした話など、めちゃくちゃ面白い放送だった。後半の5分くらいで放送していた真剣白刃取りゲームが急にめちゃくちゃなバラエティで、温度差がすごかった。墨汁が目に入ると白目がなくなるんだぁという発見があった。全黒目王将チャーハン食レポ。怖いわ。今日は朝起きて、ご飯を食べながらTVerで「探シタラTV」を見る。バナナマンの話しかしてねぇなこの日記。準レギュラーみたいになっている奥村うどんが大好き。午前中から電車に乗って出かける。京都へ。定期券が今日で切れるので、ちょろちょろと買い物に行った。京都駅で降りて、伊勢丹へ向かう。催事場で開催されている北海道展の様子を見に行ったのだが、ビニールで衝立が出来ていたりイートインコーナーがなくなっていることを除けば今まで通りの物産展だった。楽しそうに買い物をしている人、呼び込みをする人。誰もがマスクをつけていたけれど、以前の日常が戻りつつあることを実感して普通に泣きそうになってしまった。人間の営みの素晴らしさ。この後は散歩をするつもりだったので、特に何も買わなかったけれど。それから地下鉄に乗り換えて、三条の方へ向かう。香水を探すためにあるお店へ入ったら、こういうご時世で欠品が多く、テスターを使ってこれがいいかなと思ったものも売り切れていた。こればっかりは仕方がないので、そのままお店を出た。なんだかものすごく申し訳ない気持ちになる。買わないのに…という。京都の陽射しに汗をかきながら、京阪最果ての地出町柳へ。JRにしか乗らないので、これは普通に乗っていいんでしょうかとなることが多い。懐かしきデルタを眺めながら、下鴨神社まで歩く。糺の森はなんとなく涼しい。なんとなく。学部のころに古本祭りでしか来たことがなく、平常の下鴨神社を見るのは初めてだった。なんだかんだで昼過ぎになり、デルタへ戻って友人と合流する。平日の昼過ぎからデルタで学部の友人と話していると、学生のころに戻ったような気分になる。橋の下でラクロスの練習をしている人、カホンにギター2本で「1984/andymori」を歌っている大学生トリオ。一番良い風景だったような気がする。日が暮れるくらいに解散して、今出川通を西に進み地下鉄へ乗り込む。汗でベタベタになり、服も髪もめちゃくちゃだったけれど、今日はなんだか良い日だった。帰宅して、「有吉の壁」を見る。チョコプラ。「水曜日のダウンタウン」も見る。チョコプラ。長田の秘密道具。夜はずっとチョコプラを見ていたような。良い具合の疲労感があるので、ゆっくり寝たい。

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  9/17(木):朝起きて、ご飯を食べながら「おにぎりあたためますか」を見る。東北を旅行したいなと思う。蔵王のキツネ村とか、樹氷とか。ウィスキーの蒸留所とか。今はどこの蒸留所も見学を休止していて悲しい。サントリーの山崎蒸留所にはいつか行きたいなと思っていたのだけれど、「行きたい」と思ったときに行っておかなければならないのだということを痛感する日々だ。午前中の早い時間から外出。車に乗って、最寄りのスーパー銭湯へ向かう。途中、通っていた高校の前にある交差点を曲がったとき、もう赤になっている歩行者信号を無視して突っ込んできた人がいたのでよく見たら、自分が高校生のときにめちゃくちゃ嫌われていた先生だった。そういうところだぞ。スーパー銭湯では岩盤浴で汗を流した。岩盤浴うたた寝をすると、シンプルに死にそうになる。こういう状況になるまでは数時間に一度ロウリュのサービスがあったのだが、ここしばらくは休止している。一方、大浴場にあるサウナの機械式ロウリュはそのまま続けられている。どういう違いがあるのだろう。前々からあんまりやりたくなかったし…みたいなことなのかもしれない。それなら仕方がない。岩盤浴の後は大浴場で久しぶりに湯船につかった。皮膚がおかしくなってしまって久しいが、今日は大丈夫だった。低温の炭酸泉につかっていたおかげかも。はやく色々なことがもとに戻って欲しいなと思う。銭湯を出て、お昼ご飯にスガキヤのラーメンを食べた。めちゃくちゃ懐かしい。一体何年ぶりのスガキヤだろう。記憶の中にあるあの味とまったく変わっていなくて、ちょっと感慨深かった。美味しい。スガキヤのラーメンは「ラーメン」というよりも「スガキヤ」と表現する方がいいような気がする。スガキヤにしかない、あの味。お腹もいっぱいになったので、いつもより早めに帰宅。午後はぼちぼち作業をしたり、昼寝をしたり。夕方くらいから雨が降り出して、涼しくなるかなと思ったけれど、そうでもなかった。むしろ湿度が上がって蒸し暑い。残暑残暑。夜は特に何もしていない。もうすこし作業をしてから眠りたい。

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スガキヤ

 9/18(金):今日はアルバイトに行った。変則的。次に行くのはおそらく30日。もっと入りたいぜという気持ちと、いや目先のお賃金にとらわれるなよという気持ちがせめぎ合っている。難しいところだ。大局観を鍛えるために将棋でもしようかな。これはよくあるタイプの嘘です。おそらく二週間ぶりくらいに、いつもの時間の電車に乗る。いつも見かけていた人たちがことごとくいなくて、すこし不安になった。そういうこともあるのだろう。もしくは今日から連休に入っているか。地下鉄へ乗り換えるとき、高校の同級生を見かけた。当時からほとんどしゃべることがなかった人なので声をかけたりはしなかったけれど、オフィスカジュアルに身を包んだところを見ると(人生をロマンチックに全賭けしてしまって…すいませんね、へへ…)なんて気持ちになった。でも、人生を賭けるに値するのはロマンチックだけだと思いませんか。どうですか。個人的には哲学科の教授を目指す、とかもロマンチックの範疇に入ります。アルバイトはなんだかよく分からないまま時間が過ぎていった。なんというかこう、情報の伝達がめちゃくちゃ粗悪だ。ちゃんと上から下、横に伝えて欲しい。どうにかせんかい。昼過ぎに帰路に就く。とぼとぼと京都駅まで歩く。今日はなんだかあまり汗をかかずに済みそうだぞ、なんて思っていたけれど、甘かった。結局めちゃくちゃかいた。なんなら五条のあたりでえげつない雨が降り出した。折りたたみ傘を持っていたのでびしょびしょになることはなかったけれど。帰宅して、録画していた「ロンドンハーツ」を見ながら遅めのお昼ご飯を食べる。今週は全体的にあれだった。それから家のことをする。今日は金曜日なので、「ハライチのターン」を聞きながらの掃除機。岩井の十八番、「ない話」の週だった。夕方からはぼちぼち作業。夜はこれまた録画していた「せっかくグルメ」を見る。すごく細かいことだが、日村さんが事前に撮影交渉をするときの「バナナマンというお笑いの日村という者なんですが」という自己紹介が好き。「バナナマンというお笑いコンビの日村」ではなくて、「バナナマンというお笑いの」というところにこだわりを感じる。本人は何も考えていない可能性が高いところもいい。カフェインを摂った記憶はないのだが、カフェインの離脱症状特有の手の震えが出ている。なんだろう。早めに寝ようかな。

 

 9/19(土):目まぐるしい一日だった。朝起きて、ぼんやりとご飯を食べる。土曜日の午前中は基本的にぼんやり。100円ショップで買い物をするデヴィ夫人を見たり、「あさパラ」を見たり。特有の雰囲気。昼前に外出。車に乗って、まずは眼鏡屋へ。鼻の滑り止めのパーツがすこし緩くなっていたので、修理してもらった。ついでに洗浄もしてもらって、めちゃくちゃ視界が綺麗になる。普段はあまり気にしていないけれど、やっぱり綺麗にしてもらうと違う。メガネあるある、視力が下がれば下がるほどレンズの汚れに気付かなくなる。その後は移動して、お昼ご飯を食べる。今日もラーメン。妖怪週5麺すすりになってしまった。悲しい妖怪だ。メニューの種類が多く、しかもBGMに店主が大好きなミスチルが流れ続けているという「想像上の美味しくないラーメン屋」みたいな要素がいっぱいなのにどのメニューも美味しいという奇跡的なお店に行く。久しぶりに行ったら注文がタブレットになっていて、すこし戸惑った。長い目で見ればその方がお店も客も早いのだろう。ラーメンは今日も美味しかった。セットのチャーハンを頼んだら、紅しょうが抜きもタブレットで選択出来たのでありがたい。紅しょうがはなんというか、全部それの味になってしまうような気がしてあまり好きじゃない。あと色が移る。通っていた中学のジャージは嘘みたいなあずき色で、一年生の春先にそのジャージと真っ白な体操服を一緒に洗ってしまって体操服がうっすらピンク色になる生徒が多発するのだが、それを思い出す。なんの話ですか、これ。

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今週5度目の麺

 ラーメンを食べたあとは、車に乗って大津の方へ向かう。近江テラス…正式名称を「Oh!Me大津テラス」という商業施設へ。途中で前を通った西武百貨店は寂しい雰囲気を増していた。こんなにも大きな建築が取り壊されるのかと思うと、悲しい。今日の一番の目的は、宝塚歌劇団雪組公演『NOW ZOOM ME』のライブ中継。中継とはいえ、およそ半年ぶりの観劇に心が踊ったり、変に浮足立ったり。妙な高揚感だった。中継にチラッと映る客席は人数制限の問題でかなり間隔があけられており、最前列から5列目くらいまではそもそも開放されていなかった。それでも幕が上がったときはそれだけでものすごく感動したし、途中ある場面で思いっきり泣いてしまった。そうだよこれだよ、という感覚。必ず最後に愛は勝ちます。スペシャルゲストの真彩希帆さんは圧巻のパフォーマンス。この自粛期間を経てさらに磨きをかけてきたな、という印象。早く色々なことが元通りになりますように。公演が終わり、そのまま帰宅。夜はなんだか熱にうなされたような、ふわふわした気分で過ごして、ベッドに入った。

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徐々に、徐々に。

 

 9/20(日):昨日のライブ中継を見てからというもの、宝塚熱が冷めない。こういう状態になってしまってからはあまりスカイステージやDVDを見る気にもなれなかったのだが、今日はほとんど一日スカイステージを見ながら過ごした。2007年花組公演のショーを見ていると、メンバーがものすごく豪華で驚く。壮一帆朝夏まなと、望海風斗。そして今日、9月20日をもって宝塚歌劇団を退団する華形ひかる。こういう状況で、それでも公演を走ってくれたことにまず感謝をしたい。そして本当にお疲れ様でした。ありがとう世界の彼氏。永遠なれ世界の彼氏。『風と共に去りぬ』のアシュレー役が大好きです。宝塚大劇場に行きたい。午前中は、昨日買っていたジャンプを読みながら過ごした。もう『チェンソーマン』の話しかしたくない。緊張と緩和ってあの温度差でやっていいんですか?ここまでくるとコベニちゃんは逆に死なないような気がする。午後は、ほとんど寝て過ごした。今日は久しぶりの本当に何もしていない日。「ぼくのなつやすみ」なら日記には「今日は特に何もないすばらしい一日だった」と書かなければならない。夜は雑にテレビを見たり。「せっかくグルメ」に出ていたアイドルの女の子がメイプル超合金の安藤なつとあまり身長がかわらなかったので調べてみたら、165センチあるらしい。日向坂46の佐々木美玲さん、覚えました。

 

 

週間日記(2020/9/7~9/13)

 9/7(月):台風の影響で風が強く、雨が降る時間もあった。窓を開けていると風が入るのだが、いかんせん危険な気がするので閉めてクーラーをつける。難しい。万全を期して、物干し竿なんかはすべて室内に取り込んでおいた。防災にやりすぎということはない。今日はいつも通りの時間に起きて、朝ご飯を食べながら「テレビ千鳥」と「あちこちオードリー」をTVerで立て続けに見た。えらく悠長な朝ご飯だなというのは置いておいて。会ったこともない女性に子どもが生まれたので服を買いにいきますという企画はなんだろう、正気の沙汰じゃない。千鳥がやると尚更だ。もう大丈夫だろうなという時間になるのを待って、掃除機をかける。騒音問題は気にしなければならない。今週の「ハライチのターン」は、澤部のフリートークがすこし岩井テイストだった。「俺はときどきシンプルなウソをつくからね」という岩井の言葉に笑ってしまう。「裏のスーパー」の話なんかが思い出される。家のことが終わってからは、ジャンプを買いに出た。そのためだけの外出。今日はそういう日。さっさと帰宅して読んだら、『チェンソーマン』と『呪術廻戦』で泣きそうになってしまった。私はもう少年ではないから泣かなかったけれど、少年が今週のジャンプを読んだら普通に泣いてしまうと思う。「たすけてチェンソーマン」じゃあないんだよ。30分ほど昼寝をして、午後は部屋のものを整理した。主に大量のゲームソフトとか。「バナナムーン」を聞きながら作業をしていたのだけど、ラジオが終わっても作業は終わらなかった。午後はほとんどそれに潰れてしまったような気がする。夕方からは『MIU404』の最終話をようやく見た。すごいドラマだった。「一話完結のノンストップ『機捜』エンターテインメント!」とかいうキャッチコピー、今思うと大嘘じゃないですか?そのまま感想が熱いうちにエントリーを書く。今月は頑張ってエントリーを更新していきたい。

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 9/8(火):日没の時間が早くなり、夜はベランダに出れば風が涼しい。日中の陽射しにひぃひぃ文句を言っているけれど、真夏のピークは去ったらしい。フジファブリックを聴かなければいけない季節に突入している。午前中はぼんやりと過ごす。すこしずつ作業を進めている。すこしずつ。暗闇に向かって石を投げつける訓練を4年間やった経験があるけれど、やっぱり難しい。学部の4年間で人は素人からアマチュアになる。マスターでセミプロに、ドクターでプロに。「素人」と「アマチュア」間にある壁は山より高く海より深い。少なくともアカデメイアの世界では。もちろん、あてはまる他の分野もある。昼から用事があり、電車に乗って京都へ。昼間の京都はいまだに暑い。友人と合流して、お昼ご飯を食べながら色々なことを話す。アルバイトのこととか年齢のこととか、色々。居酒屋ランチを食べたあとは、イノダコーヒに移動してまた話す。感染症対策なのか、メニューがラミネート加工された紙一枚に集約されていて、ブック型のメニューは出されなかった。こういう小さな変化に世の流れを感じる。夕方くらいまで話して、あんまり帰りたくないなぁと思いながら帰路に就く。帰宅して、とりあえずシャワー。夜は本を読みながら過ごした。東野圭吾の『危険なビーナス』。刊行当時に読んだはずなのだが、10月からこれを原作にしたドラマがTBSで始まるようなので読み直した。吉高由里子のキャスティングがあまりイメージに合わないような気がするけれど、始まってみないと何も分からない。ディズニーの新作映画『ムーラン』が爆発炎上している。それもかなり規模が大きい。ディズニーのコンプライアンスが根底からひっくり返される事態だと個人的には思うのだが、Twitterではあまり話題になっていない。うーん?という感じ。TVerで「バナナサンド」を見てから眠る。

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 9/9(水):完全に涼しい。室内はまだすこし蒸し暑いけれど、外に出てみるともう真夏の盛りは過ぎている。天気予報によれば今日の最高気温は30℃に届かなかったらしい。久しぶりの感覚。朝ご飯に食べた明太子パスタサラダの味がめちゃくちゃ濃かった。2020年に食べたもののなかで一番塩辛かった。食べ終わることにはお茶の入った1リットルのピッチャーが空になっていて、いや体がおかしくなる。そんなことをしていたら、NBAプレーオフカンファレンスセミファイナルでバックスがヒートに負けたというニュースが入った。確かにヒートはいいチームで、ヤニスは欠場していたけれど、まさかここまで仕上がっているとは思っていなかった。知らない人が読んだら呪文みたいな文章に見えるだろう。今日は昼前から外に出た。家族の買い物の運転手役。昼前に出発して数人をピックアップしたあと、昼食に向かう。向かったのだが、なぜか今日は運が悪く、どこも駐車場がいっぱいだった。一軒目と二軒目を断念し、三軒目でようやく車を停めることが出来た。そういう日もある。食後は色々なところをぐるぐると回り、夕方くらいに帰宅。途中でユニクロによって秋用の靴下を買った。ハーフソックス。靴下の細かい分類がよくわかっていないのだが、あれはだいたい長さで分かれていると考えていいのだろうか。たぶんだけど、違うような気がする。夜はぼんやりと過ごした。特に何もしていない。BSで「刑事コロンボ」を見たくらい。今まで見た中でもかなりアクロバティックな殺人方法だった。小型飛行機の後ろに乗っているターゲットを薬で眠らせて、パイロットの自分は手製のパラシュートで脱出。ちょっと世界観変わりましたかね、という。

   

 9/10(木):秋雨前線とやらが停滞している影響なのか、しばらく雨が続いている。それに伴って気温も下がっていて、非常に過ごしやすい。日記の冒頭で毎日毎日太陽にキレていたのが遠い昔のように思える。ただ9月は急に暑くなったりもするので、まだまだ油断は禁物。残暑は太陽の悪ふざけ。今日は木曜日なので、録画していた「おにぎりあたためますか」を見ながら朝ご飯を食べる。戸次重幸が先週の放送分に引き続き残念で笑っていたら、夕方くらいに第二子誕生のニュースが入ってきた。あんなに残念なのに。おめでとうございます。午前中から車に乗って外出。イオンモールへ向かう途中でお昼ご飯にラーメンを食べた。開店の5分くらい前に到着したものの、ふたつある駐車場のひとつはもうすでに満杯で、店前には行列が。まだ開いていないのだから列が出来ているのは当たり前っちゃ当たり前なのだが、やっぱり人気のあるお店はすごい。昨日から駐車場運に恵まれていないような気がする。ラーメンはいつも通りめちゃくちゃ美味しかった。スープが美味し過ぎて、麺を食べ終わるころにはスープもほとんどなくなってしまう。最近はラーメンの並にサイドメニューをつけるのがしんどくなってきていて、胃の縮小を痛感する。まだ耐えられるうちに、来来亭の本店で豚キムチ定食を食べなければならない。来来亭で頼むべきはチャーハンセットではなく、豚キムチ定食です。食後はイオンモールに移動して、ぼちぼちと買い物をする。書店で藤井聡太二冠が表紙の「Number」を探したけれど、売っていなかった。今日から追加分が書店に並ぶという噂を聞いていたのだが、こういうこともある。人生だし。イオンモールを後にして湖岸道路を走っていると、ものすごい雨が降ってきた。この勢いで降ると車もちょっとは綺麗になるかなと思うくらいの強さだった。車を運転しているときに雨が降ってくると、シャキッとする。出来れば雨の日と夜は運転したくない。雨の夜なんか最悪です。ガソリンスタンドに寄って給油してから帰宅。それからも断続的に雨は降り続いていた。外の気温は低かったけれど、室内はそんなに涼しくない。窓を開けて寝られるようになるまではもうすこしかかりそう。夜はぼんやりと過ごす。「VS嵐」に出ていたPerfumeの面々に癒されたりしていた。嵐と言えば「嵐にしやがれ」が年内で放送を終えるらしい。松本潤平成ノブシコブシ吉村の絡みが大好きなので、なんかもうあの二人で番組をやって欲しいなと思ったりする。

 

 9/11(金):今日は昨日や一昨日よりも気温が上がり、蒸し暑かった。そして忙しい一日だった。忙しいというか、せわしないというか。無理なスケジュールを立てると、自分が苦しみます。午前中の早い時間から外出。電車に乗って。断捨離の一環で、遥か昔から買いためてきたゲームソフトを買取に出すことにした。積み上げられたソフトをひっくり返してみると、出てくるわ出てくるわでなんと合計で115本。本を整理しているときと同じで、パッケージを見ているだけでも色々なことが思い出されて作業が進まない。それでもなんとかリストアップして、ネットショップの買取見積を出したのが数日前。二日ほど前に返信が来たので、持っていくことにしたのが今日。「オードリーのオールナイトニッポン」を聞きながらパッキングをしたのが昨日の夜。いかんせんこの田舎では古いソフトの買取を受け付けているお店がないこと、その場で現金買取をして欲しいことが重なって、パッキングから持ち込みまでが地獄だった。大きめの紙袋と学生時代に分厚い哲学書を詰め込んでいた大きめのリュックサックがパンパンになった。めちゃくちゃ重い。早い時間に家を出て、駅に着いた時点で後悔が始まる。面倒くさがらずに車に乗ればよかったなと。別に高速道路に乗っても良かったんだぞと。駐車場代だって買取のお金でペイ出来るだろうと。すでにおかしくなりつつある右手と凶器みたいな角ばり方になったリュックサック。死んだ顔で電車に乗り、地下鉄に乗り換える。どうにか目的の駅に着いて、店舗まで歩く。死ぬほど汗をかく。どうにか到着して買取を申し込んだけれど、店員さんの顔が曇っていたような気がした。そりゃそうだ。いくら事前に申し込みがあったとはいえ、開店直後に115本もゲームソフトを持って来られたら私だってちょっと面倒くさいなと思うだろう。どれくらい査定に時間がかかるか尋ねると、数時間かかるかもしれませんとのことだったので、お店を出て周辺をぶらぶらと散歩する。数時間か…と思いながら、グーグルマップに保存している「いつか行きたいお店」の場所をめぐる旅へ。四条周辺のマップはピンをさしすぎてえげつないことになっている。流れに流れて新風館へたどり着き、どうしたもんかいのぉとベンチに座っていたら電話がかかってきた。査定が終わったらしい。時計を確認してみると、だいたい1時間くらいしか経っていない。速くてありがたいなという気持ちと、いや1時間も散歩したのかよという気持ち。お店に戻って査定を確認するとおおむね事前の見積もり通りの金額だったので、喜んで買い取ってもらった。ありがたい。ハードごとに、かつ見積書の通りに袋詰めしたのが良かったのかもしれない。115本も査定してもらうのだから、それくらいのことはしたいなと思う。身軽さに感謝しながらまた駅に向かって歩き、途中でとあるお店に寄る。以前に雑誌で見かけて気になっていた日本茶のスタンドに。ちょうど通り道にあったので、いい機会だった。冷たいほうじ茶ラテをテイクアウトして、また駅まで歩く。このほうじ茶ラテがめちゃくちゃ美味しくて、悩んだ末にLサイズを注文して良かった。家の近くに欲しい。結構な疲労を感じながら、また電車に揺られて帰宅する。だいたい正午過ぎ。シャワーをしてすこし休憩してから、また外出。今度は車に乗る。ついに散髪へ。美容室開拓問題は、「自分の通っていた美容室で働いていたけれど担当してもらっていたわけではない人が独立した美容院」を発見して解決を見た。ものすごく良い仕上がりになったので、ここに通います。まっすぐ帰って、家のことをする。「ハライチのターン」を聞きながら掃除機をかける。しばらくやっていなかった「オリラジの喧嘩のくだり」を久しぶりに聞くことが出来た。藤森本人の耳に入ったという話に笑ってしまう。夜に見た「有吉の壁」も面白かった。Kabe Eatsのすゑひろがりずで死ぬほど笑った。ヌンチャクの衝撃で宙を舞う食パン。今日はなんだか疲れてしまったので、早く寝たい。

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ほうじ茶ラテ。

 

 9/12(土):微妙な天気。決して暑くはないけれど、特段涼しいというわけでもない。疲れのせいか、良い具合に眠ることが出来た。適度な疲労、適度な睡眠。体内時計が出来上がっているせいか、タイマーをセットしていなくても目が覚めてしまうのはどうにかしたい。せっかく目が覚めたしトイレにでも行くか、みたいなことになってしまう。午前中はぼんやりと過ごす。土曜日の午前中特有の過ごし方。「あさパラ」は今週も真面目な内容が多かった。これで三週連続だ。それはそれで正しいあり方なのかもしれない。いつものようにグダグダな便利グッズのコーナーを見届けてから外出。近所のスーパーへ。すこし前からミスタードーナツの広告に菅田将暉が出ているのだが、どうしても『MIU404』を連想してしまう。ドーナツEP。それはそれとして、期間限定のサツマイモシリーズが美味しい。プレーンを温めて食べるのがおすすめです。スーパーを出て、これまた期間限定の月見バーガーを食べたかったので今度はケンタッキーに寄る。ドライブスルーには車列が、店内購入の列はお店の外まで伸びていて、どうしようかなと思ったけれど、初志貫徹の精神で列に加わった。土曜日のお昼時だからってこんなことになるかなぁと考えてみると、そういえば朝の番組でケンタッキーの特集が組まれていたことを思い出す。クイズ王が最初のクイズを間違えていた。それだけが理由ではないだろうが、その影響もあるだろう。まだまだテレビの力は強い。注文した商品を受け取り、そそくさと車に乗り込んで帰宅する。なんとなくドライブスルーは苦手だ。月見チキンカツサンドは思った通りに美味しかった。お腹がいっぱいになったけれど、午後はぼちぼち作業を進める。作業というか、勉強というか。やらなければならないことが多い。ひとつずつ、ひとつずつ。

 

 9/13(日):なんとなく涼しかったような気がする。朝起きると、携帯にニュース速報が入っていた。テニスの大坂なおみ選手が全米オープンで優勝したとのニュースだった。すごい。BLM運動の関係で今大会は大坂選手のプレーよりも言動や服装に注目が集まっていたような印象がある。悪いインターネットの言葉がどうしても目に入り、人類を悲観する悪役のような気持ちになるけれど、私は私の考えを深めなければならない。そして何よりもまず、大坂選手の栄光に祝福を。彼女が試合後にコービー・ブライアントのジャージを着ている画像を見て泣きそうになり、まだ自分はコービーが死んだことを受け入れられていないのだなと思った。彼の所属していたレイカーズはカンファレンスセミファイナルでロケッツを4-1で退けている。初戦こそロケッツのスモールラインナップに苦戦していた印象だが、第二戦からしっかりと修正してくるところが流石だ。レブロンはもちろんだが、ADのディフェンス面での貢献が本当にすごい。コービーファンとしては、レイカーズにチャンピオンになって欲しい。今日は特に何もしていない。昼食を食べるために外へ出たくらい。本当に何もしていないので、なにかTVerでバラエティ番組でも見てから寝ようと思う。

 

『MIU404』最終話「ゼロ」

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「なにがいい?不幸な生い立ち?歪んだ幼少期の思い出?いじめられた過去?ん?どれがいい?俺はお前たちの物語にはならない」

 私は、そしてあなたは誰であり、どこから来てどこへ行くのか。そのことを真正面から描く『MIU404』の最終話で、久住(菅田将暉)が志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)に対して吐き捨てたこのセリフは、どこまでも重い。天変地異にも似た大きな変化の中で誰もが苦しみを味わう2020年にあって、私たちは以前にもまして「ストーリー」を求めるようになっている。犯罪者に幼少期のトラウマを求めるように、天才に過去の挫折を求めるように。「俺はお前たちの物語にはならない」という言葉はドラマの視聴者にだけでなく、脚本家の野木亜紀子自身にも向けられているのではないだろうか。このドラマでは、現代における人間存在そのものに対する厳しい「自戒」や、人間のひとりである自分自身への「内省」に近い言葉や表現が随所に見られた。

献金もらった政治家も、賄賂もらった役人も起訴されないんだって。金持ちの世界どうなってんの。私なんて手取り14万で働いてんのに草」

    第4話「ミリオンダラー・ガール」

「私たち働きに来た。日本人働く人いない。働く私たちニーズあってる。ベトナム日本の家電たくさん。日本の会社たくさん。綺麗。カッコイイ。みんな日本行きたい。dream。でも、日本は、私たちいらない。欲しいのは、文句ない、言わない、お金かからない、働くロボット」

   第5話「夢の島

「俺はラッキーだったなぁ」

   第7話「現在地」

 マイノリティの問題に見て見ぬふりをしてきた私たちへ、野木亜紀子は厳しい視線を向けている。連帯責任の名の下、理不尽に青春を奪われた高校生。違法だと分かっていながら、トランクルームで生活する人。このドラマは罪を罪として断じつつ、マイノリティに小さな叫びを代弁していた。第4話「ミリオンダラー・ガール」で青池透子が最後の望みを託して女子児童慈善団体に宝石を送る時、彼女が差出人の欄に書いた「Girls too」は、「私もあなたと同じ逃げられなかった女の子だった」ということを示している。あなたは私だったかもしれないし、私はあなただったかもしれない…。その「too」は私たちの誰もにあてはまる。私たちの間には「繋がり」が、「連続性」があるのだ。

   

ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」に代表される「スイッチ」のメタファーも、この作品を語るうえで欠かせない要素のひとつ。

「自分の道は自分で決める。俺もそう思う。だけど、人によって障害物の数は違う。正しい道に戻れる人もいれば、取り返しがつかなくなる人もいる。誰と出会うか、出会わないか。この人の行き先を変えるスイッチは何か。その時が来るまで、誰にも分からない」

   第3話「分岐点」

  私たちはどうしようもなく繋がっている。私たちの一人一人が装置の中を転がり落ちるパチンコ玉であり、同時に障害物──、つまり別のパチンコ玉の行き先を変えるスイッチでもある。私はどこから来て、どこへ行くのか。その過程で、誰とふれあい、誰の「スイッチ」になるのか。その集約が人生なのだとしたら。「物語」なのだとしたら。最終話「ゼロ」で久住が言う「俺はお前たちの物語にはならない」という言葉の意味は。誰かの人生を「物語」として消費するそのとき、誰かの人生に指すその「後ろ指」をお前たちは自分自身の人生に、「物語」に向ける覚悟はあるのかということなのかもしれない。

 人生が選択の連続であり、自分と誰かの人生が繋がっている以上、それを安易に物語化することなど出来ない。久住が捕まえ損ねた蝶々の羽ばたきが明日の風を生み、私の帽子をどこかへ飛ばしてしまうかもしれないのだ。

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週間日記(2020/8/31~9/6)

 8/31(月):8月31日という日付には、何か特別なものがあるような気がする。ただ単に夏休みの最終日だというだけなのだが、個人的には3月31日と同じような立ち位置だ。高校生になるころには、夏休みの最終日は一週間ほど早まっていたけれど。昨日は寝る前にエントリーを書いた。本日をもって閉店する大津市西武百貨店に関するエントリー。日記以外の文章を更新するのは久々で、予想の倍くらいの時間がかかった。色々なことが鈍っている。反省しなければ。今日はアルバイトなし。次に行くのはたぶん水曜日だ。たぶん。引き続き暑い。なるべく外に出ないようにしながらも、午前中のうちにジャンプを買いに行った。今週はなんかこう、『チェンソーマン』を読んでぐったりしてしまった。マキマさん、あんたなんなのさ…。昼前から家のことをする。「バナナムーン」を聞きながら。フラボノガムに固執する設楽さん。今週のヒムペキ兄さんは最高だった。それが終わってからは、録画していたテレビを見ていく。先週の「アメトーーク」はコロチキのナダルをフィーチャーした回。田舎育ちだと言うナダルの出身を調べてみたら、京都の南山城村だった。意外。「MIU404」の第10話が本当にすごくて、野木亜紀子のパワーというか、怒りみたいなものをヒシヒシと感じた。次回の最終回がどうなってしまうのか全く分からなくて、楽しみ。土曜日に放送していた「ただ今、コント中」は途中まで。FNS歌謡祭っぽいコントの司会役がアンジャッシュ児嶋で、なんだその攻め方はと思った。夜のニュースでそごう西神店や西武大津店閉店の映像を見た。西武大津閉店の映像に関してはなんだか本当に切なくて、涙が出てきて、自分が思っているよりもあの場所に愛着があったんだなと気づいた。百貨店というか、大型の商業施設を中心にした街づくりを新たな方向から考えなければならないのだろう。そもそも滋賀に「その中で完結する街」なんてものがあるのか、作ることが出来るのかという問題はあるけれど。

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 9/1(火):もう9月になってしまった。もう、と表現したけれど、正直なところ今年に関して「時の流れが速い」と思ったことは一度もない。まだ9月か、という感覚の方が正しい。こういうご時世でイベントが根こそぎなくなってしまったからなのか、時間の流れをほとんど感じることがなくなった。風流という言葉の重さを再認識している。季節行事はなんというか、移り変わりの激しい四季にあってそれぞれの節目をしっかりと意識するためにあったのかもしれない。ここまでで言えば、2020年の春はただ花粉症がしんどいだけだったし、夏はただクソ暑いだけだ。もっと言えば春も夏も存在しなかったに等しい。季節とは気候の変化だけを指すのではない。本当に。今日は一日家にいた。一日家にいたし、微妙に過眠の気配があってほとんどを寝て過ごした。ダメな日だ。もうちょっと頑張らないといけない。朝起きて、ご飯を食べながら「ただ今、コント中」の続きを見る。こういうコント番組がどんどん増えて欲しい。カムバック「レッドシアター」。考えてみると、お笑い芸人がしっかりネタをやる番組はだいぶ減ったような気がする。印象の話なので真偽は別にして。昼前から二度寝に入って、起きたらほとんど夕方だった。本当にダメな日。こうなりゃヤケだと思い、そこからはパワプロに入る。夏休みの大学生かよ。3回生の夏休みじゃん。パワフェスの図鑑はもうすぐコンプリートなので、その暁には現状パワプロに費やしている時間が他に回り、すべてが上手くいきます。きっと。夜も同じくぼんやりと過ごす。TVerで「バナナサンド」を見た。ケンコバのかっこよさをプレゼンするあまりにどんどん自分のダメなところを披露してしまう日村さんの良さ。早めに寝よう。

 

 9/2(水):不安定な天気。気温が高いのはそれとして、雨が降ったり雷が鳴ったり。台風が近づいている影響もあるのかもしれない。今日はアルバイトへ行く。同じ時間に起きても、アルバイトがあるというだけでしっかり目覚めることが出来る。いや目覚められなかったらいよいよ終わりなのだけれど、不思議な話だ。ぼんやりと朝ご飯を食べながら見ていたテレビで、アートアクアリウムが紹介されていた。水槽に大量の金魚がひしめいていると、どうしても恐怖が勝ってしまう。そんな、ミチミチに…みたいな。食べるわけでもないのに…みたいな。食べたらセーフなんていう自分の基準もよく分からないな。アウトじゃないか?いつも通りの電車に乗って、アルバイトへ。業務も終盤、やることはほとんどなかった。交通費とトントンくらいだなぁという時間にアルバイト先を出る。もったいない気持ちとご時世を気にする気持ちとを天秤にかけて、結局すこしぶらつきながら帰ることにした。四条をふらふらしたり、京都駅のポルタをうろついたり。ポルタは久しぶりに行ってみるとテナントの顔ぶれが結構変わっていた。イノダが健在ならそれでいい。久々にあのフレンチトーストを食べたくなったけれど、空腹感がなかったのでそのまま電車に乗った。行き帰りの電車でオードリーのオールナイトニッポンを聞いたので、日曜の「プロフェッショナル」を録画しようかな。いつもより早い時間に帰宅して、夕方までは作業をしたりゲームをしたり。『MIU404』のエントリーを書こうかなと思ったものの、文章がまとまらなかった。9月はまたしっかりとエントリーを更新したい。観劇などの予定が吹っ飛び、エンタメがフルブレーキを踏んでからというもの気持ちが折れてしまっていたが、またすこしだけやる気が出てきた。すこしのやる気を出すのに、半年近くかかってしまった。気持ちが弱い。夜は「刑事コロンボ」を見て過ごす。この日記を書いている際中も、遠くの空で雷が光っている。明日の天気はどうだろうか。

   

 9/3(木):今日も不安定な天気だった。ニュース番組やSNSには台風の情報があふれている。どれだけ用心しても用心しすぎるということはないだろうから、台風の影響が予想される地域の方には十分注意して欲しい。ただ、この日記を更新する頃にはもう台風が列島を通過しているはずなので、びっくりするほど無意味な文章がここにはあります。アルバイトはなし。朝起きて、ご飯を食べながら「おにぎりあたためますか」を見る。今週も戸次重幸が残念だった。戸次重幸が残念ムーブをしたときの大泉洋が好きだ。「鬼の首を取ったよう」とはああいうことを言う。今日は早い時間から車に乗って出かけた。かつてのスター、ピエリ守山へ。テナントの入れ替わりさえあれど、リニューアルしてからは堅実に営業を続けている。近隣住民としてはありがたい限り。久しぶりに岩盤浴で汗をかく。こういう状況のせいか、人は少なかった。少なかったのに、ずっとひとりで喋り続けるタイプの人とかちあってしまって、最悪だった。そういうこともある。いつの間にかいなくなっていたので、最終的にはいつも通り楽しむことが出来たけれど。休憩スペースに置いてある『ワールドトリガー』を手に取ったら、一体どこまで読んだことがあるのか分からなくなっていて、勘で数冊を選ぶことになった。週刊のジャンプから移籍して以来連載を追うことが出来ていない。自宅にある単行本も途中までしか買っていない。結局読んだことがあるところをもう一度読んだのだが、それでも面白かった。皮膚がおかしくなってからというもの湯船につかることを避けていたので、およそ一か月ぶりの入浴。めちゃくちゃ気持ちよかった。めちゃくちゃ気持ちよかったけれど、皮膚はまだ治っていなかった。悲しい。おそらくストレスが原因なのだろうけれど、そうなるともう一生治らないんじゃないかと思ってしまう。ポジティブに生きたい。お昼はピエリ守山のフードコートで食べた。子供連れが多くて、平和だった。その後は秋冬用の服を探したり、ついにハンガーを買ったり。買わないとなぁと思いながらもずっと忘れていたハンガー。ようやく。そしてレモネードを飲みながら帰宅。それからは宝塚の雑誌を読んだり、作業をしたり。夜はTVerで「ゴッドタン」を見る。蛙亭のネタが最高だった。もうちょっと作業をしてから寝たい。

 

 9/4(金):宝塚歌劇や舞台関係のニュースに振り回される1日だった。まず朝起きたら、ミュージカル版『ポーの一族』が上演されるというではないか。それも宝塚ではなく、しかも主演にはあの明日海りおを迎えて。こんなにも心踊らされるニュースは、ここ最近ではなかった。あの明日海りおが、エドガー・ポーツネルとして舞台に帰ってくる。王の帰還と表現して差し支えない。ミュージカル『ポーの一族』は、私のすべての原点だ。本当に。2018年に花組の公演を見たから、私は今の私として存在している。エドガーが明日海りおなら、アラン・トワイライトは?シーラは?メリーベルは?妄想のキャストが浮かんでは消えていく。公演期間は2021年の1月に大阪、それから東京。本当に、本当に上演して欲しい。上演してくれるなら、最悪チケットはなくてもいいとさえ思ってしまう。感染症の流行が抑えられることを祈っている。そしてもうひとつ大きなニュースがあった。宝塚歌劇団雪組の次期トップスターとトップ娘役が発表されたのだ。トップスターは彩風咲奈で、相手役は朝月希和。正直、娘役の人事はまったく予想していなかった。潤花が宙組に組替えし、真彩希帆の後任は星南のぞみか野々花ひまりか彩みちるのうちの誰かだと思っていた。朝月も花組雪組花組雪組というもう乱れ打ちのような組替えで、すごいなぁというところがある。望海風斗・真彩希帆という屈指の歌唱力コンビから、彩風咲奈・朝月希和というダンサーコンビへのバトンタッチで、組のカラーを一新しようということなのだろうか。確かに『Music Revolution』で彩風と朝月が見せたダンスは素晴らしかった。期待大。

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 それはそれとして、今日はアルバイトへ行った。3時間くらいずっとノートに文章を書いていた。給料泥棒か?と自分でも思うけれど、長いスパンで見れば絶対に必要なことなので、右手に疲労を感じながら頑張った。いつもよりは早い時間にアルバイト先を出て、今日は近辺でお昼ご飯を食べた。写真を取り忘れたけれど、鯛茶漬けの定食。おひつにご飯が入っているとテンションが上がる。さて天気もいいしなぁということで、地下鉄東西線に乗って、蹴上で降りる。ぷらぷらと歩いて、南禅寺へ行った。前回が記憶にないくらい久しぶりだった。こういうご時勢だからか人が少ない。色々と写真を撮り、門にも登り、ゆっくりと景色を堪能してから帰路につく。久しぶりに乗った東西線はめちゃくちゃうるさかった。こんなにうるさいもんでしたか。夕方くらいに帰宅して、掃除機をかけたり今日着た服を洗ったり。もちろんシャワーもした。夜はぼんやりと、「ぴったんこカンカン」を見て過ごす。『MIU404』はゆっくり見たいので録画したが、番宣で星野源が「リアルタイムで見て欲しい」と言っていたのが引っかかっている。たぶん月曜日まで見られないので、それまでは一切の情報を遮断したい。そんなことは不可能だけれど!

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南禅寺、青紅葉。

  9/5(土):ぼんやりとした、土曜日特有の午前中を過ごす。「あさパラ」は二週連続で終始真面目な内容だった。先週に引き続き、そういうことじゃないのよぉ。昼前から車に乗って出かける。キャンペーンを利用したミニマルな旅をということで、奈良へ向かった。高速道路が新しくなったおかげで、奈良市内中心部までは車で一時間とかからない。便利。便利な時代。奈良を訪れるのはめちゃくちゃ久しぶりで、前回はおそらく小学生のころではないだろうか。いわゆる奈良と呼ばれるところを車で走っていると、もうそこらじゅうに鹿がいる。中央分離帯で休んでいる鹿を見たときはちょっと人間社会に慣れすぎじゃないかと思った。ホテルにチェックインして、とりあえず周辺を散策する。まず興福寺を尋ねた。国宝館や東金堂は明日の楽しみにとっておき、外観の写真を撮るくらいにしておいた。何と言っても暑い。陽射しがすごい。鹿も日陰でぐったりしている。去年広島に行ったときも暑さにぐったりする鹿を見た記憶がある。元気な鹿はどこにいるのだろう。ぶらぶら歩いていると、なんだか既視感のあるところに出た。はて小学校の遠足で通ったかなぁと記憶を掘ってみたら、思い出した。「相席食堂」の千原せいじが出演した回でボッテガみたいなモザイクをかけられたカップルが座っていたところだ。なんだか絶妙に嫌な気持ちになった。それからは涼しさを求めてお土産を探したり、近鉄奈良駅の地下や商店街を歩く。土産物店で見つけた折り鶴のピアスがとてもかわいかったのだが、実際身に付ける機会があるのかと思ってしまい、結局買わなかった。旅先で見るものに実用性を求めることほど野暮な態度はないなと、今になって反省している。夕方にはホテルに戻り、休憩してから夕食を取った。めちゃくちゃ美味しいご飯だった。久しぶりにすこしお酒を飲んでいい気分になり、そのまま気持ちよく眠る。旅は良い。

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興福寺

 

 9/6(日):かなり早い時間に眠ったので、いつもより早い時間に目覚める。変な夢を見た。一度も吸ったことがないのに、めちゃくちゃタバコを吸う夢。しかも自分で紙巻きたばこを作って、それを吸っていた。一切の経験がないことでもどうにかなるのが夢の面白いところかもしれない。びっくりするほど慣れた手つきでタバコを巻いていた。まだ目覚めきっていない頭でシャワーを浴び、朝ご飯を食べる。しっかりした朝ご飯で、お昼までにお腹が空くだろうかと思った。一度部屋に戻り、すこし休憩してから散策に出る。興福寺の国宝館へ。有名な阿修羅像を見ることが出来た。日曜日だしどうかなと思ったけれど、やはりこういうご時勢だからなのか、人は少なかった。一通り展示を楽しんだあとは、東金堂に向かった。ここで見た旧増長天立像がとても印象に残っている。それからは腹ごなしを兼ねて、ぶらぶらと散歩をした。せっかくなので鹿せんべいを買い、鹿にあげてみることにした。集団に目を付けられると怖いので、隅っこの方に一匹でいる鹿を探す。鹿に襲われたくない。数匹の鹿にあげてみると、食べ方にも個性があって面白かった。くわえたままバリバリといく豪快なスタイルから、受け取ったら一度地面で半分に割ってから食べる上品なスタイルまで、さまざまな食べ方があるらしい。一度上げるとしばらく後ろをついて来るので、鹿匠になった気分を味わえる。そんな職業はない。手持ちのせんべいがなくなっても期待した目で見てくるので、『動物のお医者さん』よろしく両方の掌を見せて「もうない」と言い聞かせる。寄生虫が原因でめちゃくちゃ食べるのに全然太らない犬の回だったかな。面白い漫画です。その後はホテルに戻り、チェックアウトの時間までゆっくり過ごした。昼前に出発して、特にどこかへ寄るわけでもなく帰宅。あれだけ寝たのに眠いので、午後は昼寝をして過ごす。久々の小旅行で楽しかったので、明日からは心機一転頑張りたい。アルバイトもしばらくはなさそうなので、しっかり自分の畑を耕すぞという気持ち。今日も早めに寝ます。

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お上品スタイル

 

さよなら西武大津 ──大津から百貨店が消える日──

 滋賀県大津市にある西武百貨店が、2020年8月31日をもって閉店する。1976年11月16日の開店以降、44年の長きに渡ってにおの浜の地で経営を続けてきたが、折からの経営不振でついに閉店することになってしまった。

 西武、そしてそのすぐ近くにあったパルコは、幼い頃の私にとって「週末に家族で買い物に行く場所」だった。あるいは「ちょっと値段の張る食事をする場所」だった。他の場所では買えないような化粧品を吟味する母、よそ行きの服を見繕う父。上階のレストランフロアで楽しそうに食事をする祖父母。思い出は今も鮮やかだ。

 しかし、世界を巻き込んだ不況の波に西武大津も飲み込まれていく。都市部の百貨店が経営不振に陥ったように、西武大津も窮地に立たされた。それはたったひとりの客でしかない私の目にも明らかだった。不振の影響がもっとも顕著に現れていたのはレストランフロアだろう。76年の開店当初に入っていた飲食店はひとつ、またひとつと撤退していき、7階と6階にまたがっていたレストランフロアはいつの間にか7階だけになった。祖父母と一緒に食事をしたお店はもうない。テナントの入れ替わりは加速度的に激しくなり、開店当時から残っているのはたったひとつ、串カツの「串の坊」だけだ。様変わりしていくのはレストランフロアだけではない。かつてあったいわゆる高級店がなくなり、「無印良品」や「アカチャンホンポ」が取って代わった。「ここでしか買えないもの」がそもそも存在しないようになったこと、そして「ここでしか買えないこと」が持っていた価値が今では失われてしまったこと。さまざまな小さい変化が、百貨店という形態にとっては大きな逆風になっていった。

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1976年当時のレストランフロアの案内表示

 インターネットや交通網の発達が与えた影響も大きい。そもそも滋賀県はとてつもない車社会で、一世帯あたりの車の所有台数は平均で1台を超えている。対して公共交通は貧弱と言う他なく、県内を走る電車はJRと京阪、近江鉄道だけだ。京阪は県南部のいわゆる湖南地域の限られた場所を走るだけで、とてもではないが全体をカバーしているとは言えない。近江鉄道近江八幡を起点に県東部を走り「ガチャ」「ガチャコン」などの愛称で親しまれているものの、1994年以来赤字経営を続けている。今月になってようやくICカードの導入が検討されるなど、現状は想像に難くないだろう。車でどこへでも行けるようになった滋賀県民、とくに湖南地域の県民にとって、大津は特別な場所ではなくなってしまった。高速に乗れば1時間もかからずに京都市の中心部へ行くことが出来るのだ。西武大津の最寄り駅である膳所駅には新快速電車が止まらず、利用者の少ない京阪電車での集客は見込めない。大津は官庁街としての側面が強くなり、買い物へ行くところではなくなりつつあった。

   

 それに拍車をかけたのが、2008年のイオンモール草津の開業だ。近江大橋のすぐ近く、幹線道路沿いということもあり、その集客力は開店当初からすさまじかった。この車社会にあって、百貨店以外の大型商業施設は駐車場が無料で開放されているということも大きかったのだろう。イオンモール草津はまず、ピエリ守山との競争に圧勝する。2008年、イオンモールよりも2か月ほど先に開業していたピエリ守山は始めこそ勢いがあったものの、フォレオ大津一里山なども含めた大型商業施設との争いに敗れ、2014年に一時閉店する。開業時200あったテナントは一時期たったの4店舗にまで減少し、「明るい廃墟」と呼ばれるようになったことを覚えている人もいるかもしれない。そして西武大津にとって最も大きかったのは、パルコが閉店したことだろう。競争の中でパルコも西武と同じように大型チェーンを中心とする店舗構成にフロアを変化させたが、2017年の8月31日を持って閉店してしまった。

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1976年当時のレストランフロアと、2020年7月のレストランフロアを同じ場所から写したもの

 そうなってしまうと、大津市の中心部が持っていた魅力はどんどん失われていく。車を持たない世代にはアクセスが悪い上に惹かれるものがなく、大人世代には「ここで買う必要があるのか」と思われてしまうようになった。正直なところ、西武大津の閉店が発表されたときに抱いたのは「だろうな」という感情だった。やっていけるわけがなかった。京都や大阪のベッドタウンとして人口が増えてはいるものの、バブルは崩壊しているしリーマンショックの影響も大きい。そして新型の感染症が流行し、人々はどこにも行けなくなった。街の移り変わりを肌で感じている県民としては、何の驚きもなかった。県庁所在地における「西武」と「パルコ」の閉店は、滋賀県全体の行く末を暗示しているような気がしてならない。パルコは「Oh!Me大津テラス」とリニューアルして2018年から営業を再開しているが、当初から「Coming Soon...」となっていた5階にはいまだに何のテナントも入っていない。9月からは県内で唯一の百貨店ということになる草津市近鉄百貨店もかつての西武やパルコと同じような道をたどっていたが、今年に入って東急ハンズとコラボレーションしたリニューアルを行い、それ以降はかつての賑わいを取り戻しつつある。しかしレストランフロアからは飲食店が撤退して代わりに学習塾や工務店が入るなど、全体的に百貨店らしくない構成になっているのが現状だ。

 ベッドタウンとしての魅力から大津市草津市守山市などではここ数年マンションの建設ラッシュが起こっており、西武大津の跡地にもマンションが建つらしい。段丘状の階段が建物の左右に配置された、客船を思わせるようなあの建築が失われてしまう。思い出は記憶に残るかもしれないが、それでも「その場所」がごっそりとなくなってしまうのはやるせない。大きな変化の途中にある滋賀県が、誰もにとって住みやすい場所になってくれることを願ってやまない。

 西武大津に感謝を込めて。