感情の揺れ方

それでも笑っていたい

2021年の観劇生活を振り返る

 新型感染症が猛威を振るい続ける2021年、舞台演劇ひいては動員を伴う興行は未だ苦境に立たされています。それでも関係者全員が工夫を重ね、2020年と比べればどうにか上演に至った公演は増えてきました。特に二つの常設劇場、固定のスタッフ陣を誇る宝塚歌劇団は大きな中断が一度あったものの(4/26~5/10)、全国ツアーも完走するなど、コロナ禍にあっても充実した一年になったのではないでしょうか。もちろんそこにはスタッフ・演者の途方もない努力があり、「宝塚さえ上演していればいい」という考えに与することはしたくありませんが……。

 さて、2020年には出来なかった(する気にならなかった)一年間の観劇振り返りをしていきたいと思います。とは言っても宝塚歌劇団以外の舞台作品は一本しか見ることが出来ていないので、宝塚の振り返りになります。一年間の個人的マイベスト(順不同)、候補は10作品。中継でしか観劇出来なかったものは除外です。まずはお芝居編、早速行きましょう。

雪組公演『fff -フォルティッシッシモ-~歓喜に歌え!~』

 望海風斗・真彩希帆というゴールデンコンビの退団公演です。上演当時はオーケストラによる生演奏が中止、およそ80人の組子はAチームとBチームに分けられるという状況でした。そんな状況さえも逆手に取った上田久美子氏の演出が印象に残っています。もちろん望海・真彩のパフォーマンスも。

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星組公演『ロミオとジュリエット

 かつて新人公演でロミオを演じた礼真琴が、今度はまさしくトップスターとしてロミオに挑戦した作品。ジュリエットを演じた舞空瞳にも大きな挑戦だったことは想像に難くありませんが、本当に素晴らしい作品が出来上がっていました。こちらも出演者はAパターンとBパターンに分かれていましたが、そのどちらもBlu-ray化されたことはファンとして嬉しい限りです。

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花組公演『銀ちゃんの恋』

 『蒲田行進曲』をベースに、これまで何度も再演されてきた名作に水美舞斗を中心とした花組選抜メンバーが挑んだ作品。銀ちゃんを演じた水美舞斗はもちろん、何と言っても飛龍つかさがヤス役で見せた演技の素晴らしいこと……。2020年代の終わりに10年を振り返ることがあれば、現状真っ先にベストアクトのひとつに数え上げられるだろうパフォーマンス。いや作品自体がそうなるかもしれない。抜擢となった小夏役の星空美咲に感じたスターダムも印象的。

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月組公演『桜嵐記』

 珠城りょう・美園さくらの退団公演。上田久美子氏の卓越した演出と、珠城りょうというトップスターの魅力に満ちた作品。ラストシーンは涙なくして……。おそらくこれから何度も再演されるだろう和物の誕生です。

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月組公演『川霧の橋』

 新トップコンビ月城かなと・海乃美月のプレお披露目公演。劇団としては久しぶりの博多座公演で、名作として名高い今作の初再演は月城・海乃両名の実力で素晴らしいものとなりました。これからの月組、目が離せません。

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花組公演『元禄バロックロック』

 新トップ娘役星風まどかのお披露目、そして演出・谷貴矢氏の大劇場デビュー作となった公演。『忠臣蔵』を下敷きにしながらSF要素も組み込んだエンターテインメント作品だが、柚香光・星風まどかの好演もあり上質な作品となっていた。

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 それではショー編に行きましょう。

 

雪組公演『シルクロード~盗賊と宝石~』

 生田大和氏による初めてのショー作品であり、菅野よう子氏が楽曲を提供したことでも話題となった作品。サヨナラ公演で「俺はワルだぜ!」と高らかに歌い上げる望海風斗、圧巻のラップを披露する真彩希帆に拍手。

 

宙組公演『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』

 冒頭、カンカンの場面で新トップ娘役・潤花が見せたパフォーマンスが見事。彼女の魅力はダンスにあるのだと思わせる作品。他の場面も宝塚らしいというか、野口幸作氏らしさに溢れていて、非常に楽しいショーとなっている。

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星組公演『モアー・ダンディズム!』

 星組にとっては久しぶりとなるショー作品。岡田敬二氏のよる「ロマンチック・レビューシリーズ」の21作目、そして「ダンディズム三部作」の3作目に位置づけられる。この公演で退団となるスター、愛月ひかるの活躍が印象的。

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 以上です。2022年、観客だけでなく演者・スタッフも安心して舞台に携わることの出来る世界が取り戻されることを祈って、結びとします。