感情の揺れ方

それでも笑っていたい

浜田秀哉脚本『コントが始まる』第4話

 緻密。第1話から第3話の脚本や演出も徹底的に”練られて”いたが、この第4話におけるそれはまた別の次元だったように思う。第3話において春斗(菅田将暉)や潤平(仲野太賀)がそれぞれの過去や家族と向き合い始めたように、第4話では瞬太(神木隆之介)と母親(西田尚美)との関係が描かれた。

 壮大な前フリである冒頭のコントは、「捨て猫」。『CATS』よろしく、全身メイクとコスチュームで「捨てられた猫」に扮した春斗と、「生まれた時からの捨て猫」に扮した瞬太。マクベスのネタの中で唯一瞬太が書いたこのコント「捨て猫」に現れているように、瞬太は母親との折り合いがついていない。高校時代に恩師である真壁(鈴木浩介)の子供が生まれる場面に偶然立ち会った瞬太は、「生まれてくるときはあんなにも祝福されるんだなぁ」と涙を流す。それは明らかに、「瞬太は自分が愛されていないと思っていること」の表れだった。早くして父が亡くなったあと、母が恋人を連れてきたこと。やることなすこと、すべてを否定されること。芸人になり、髪の毛を金色に染めた瞬太にとって、「生きること」は「母親に復讐すること」だった。

 「血は水よりも濃い」とはよく言われるところだが、「血の濃さ」はそのまま「呪い」へとつながっていく。高校を卒業してすぐ、プロゲーマーとして家を出て以来母との連絡を絶っていた瞬太のもとに、病院から電話が入った。かつて『ゴジラのテーマ』を着信音として襲来していた母親と瞬太が言葉を交わすことはついぞなかったが、彼なりの方法で母と向き合った瞬太は、「呪い」を解いた。ミートソースに粉チーズを振りかけることで、ブルドッグの子供となることで。