感情の揺れ方

それでも笑っていたい

坂元裕二脚本『大豆田とわ子と三人の元夫』第2話

 岡田将生のすごさについてはこのブログで何度も述べてきたところだが、彼の素晴らしいパフォーマンスは坂元裕二が脚本を務める『大豆田とわ子と三人の元夫』においても変わらない。変わらないどころか、中村慎森という捻くれた屁理屈屋の悲哀を的確に演じ、坂元裕二に特有の膨大なまでのセリフを完璧に発話している。

 大豆田とわ子の三人目の元夫である中村慎森をメインに据えた第2話は、冒頭で慎森が間違えた買った犬用の最高級缶詰、白濁した湯船で慎森が愛でるパンダなど、「混ざりあうこと」をモチーフに描かれている。そしてその「混ざりあうこと」は、人と人とが出会い、変化していくこと」へと昇華される。「オシャレ」が徹底して突き詰められているこのドラマだが、しかし登場する人物はどこまでも取るに足らないような生活を生きている。建設会社の社長であってもうどんにイヤフォンを落とすし、弁護士であっても湯船で寝落ちして壁に頭をぶつけてしまう。そんな人たちは、自分以外の誰かと出会うことで簡単に変わっていく。カフェでたまたま居合わせた女子高生の勉強風景が、大豆田とわ子に社長就任の決心をさせたように。そして中村慎森もまた、大きく変わっていく。「~っているかな?」という形でもって、あらゆることに毒づく慎森が。「お土産っているかな?」と言いながら、醤油を持参。「スポーツっているかな?」と言いながら、公園でバスケットボールにいそしむ。「あいさつっているかな?」と言いながら、こんばんはすきやき、おはようございます。「人間って走る必要あるかな?」と言いながら、連行されたとわ子を走って追いかける。「いちいち離婚したって言う必要あるかな?」と言いながら、警察署で「大豆田とわ子の離婚した元夫です」。「人を幸せにする機能が備わっていない」慎森に大豆田とわ子が混ざり合って、不当解雇に喘ぎ公園で生活する女性を救うために動き出す。

別れたけどさ、今でもいっしょに生きてると思ってるよ