感情の揺れ方

それでも笑っていたい

待ちに待った組替え発表、しかし

 昨日、宝塚歌劇団公式ホームページにおいて、組替えが発表された。正直、宝塚のファン歴が長い人なら規模の大小はあれどそろそろ発表されるだろうなとは思っていただろう。星組花組の次期トップスター発表、そして花組娘役の大量退団などきっかけになりそうな出来事は多かった。しかし、組替えの内容を見てすこし驚いた。なんというか、あまり予想していなかった人たちが組替えしていくのである。このエントリーでは、その組替えの内容をつぶさに見ていきたい。

 まず1人目は、花組の綺城ひか理。2011年入団の97期生。彼が11/25日付けで星組に異動することになった。いきなりだが、この人事は正直予想していなかった。花組の若手男役は現状綺城ひか理、飛龍つかさ、帆純まひろ、聖乃あすかでしっかりと固定されているような印象があったのだ。しかも星組。なんとなく、星組のオラオラ系男役にフィットするようなイメージがあまりない。そして、97期前後の男役というと星組には紫藤りゅう、天華えまなどがいるので、果たしてどうなるかというところ。紫藤については後述するが、その辺りの学年に刺激を与えようという狙いがあるのだろうか。

 2人目は、雪組の朝月希和。2010年入団の96期生。彼女は11/11日付けで花組に移動する。率直に言うと、いやなんで?という気持ちが強い。出戻りじゃないか。彼女は入団後花組に配属され新人公演主演や東特公演でのWヒロインなども務める、組の中核を担う娘役だったが、2017年に雪組へ異動した。ちょうど、同じ花組生だった望海風斗のトップスター大劇場お披露目公演『ひかりふる路』から雪組生として公演に出演している。それ以降も歌唱力やダンスを活かして、雪組娘役の中でかなり中心的な役を演じていたように思う。特にショーでは彩風咲奈や専科生と組むことが多かった印象だ。それがまた花組に組替え。花組の娘役大量退団への対処方法がこれだとしたら、結構以外だ。そして、花組に異動する娘役は彼女一人だけ。個人的には、もうひとりくらいは…と思う。

 3人目も雪組の永久輝せあ。2011年入団の97期生。彼も11/11日付けで花組に異動する。彼の組替えについては、予想通りに部分と予想外の部分とが半々だ。まず、彼はいつか組替えするだろうなと思っていた。新人公演の主演を4回経験し、今年にはバウホールでの単独初主演を果たしている。入団9年目でこれだけの実績がある男役は少ない。そして、若いころから活躍する男役に組替えはつきものだ。ただ、このタイミングで花組に異動するとは思っていなかった。柚香光がトップスターに就任することになり、さて2番手は誰かとファンが悩んでいるところにこの組替えは正直予想外だ。個人的には、瀬戸かずやか水美舞斗のどちらかが羽根を背負うのだろうと思っていたが、そこに永久輝せあがやってくるとなると、正直もう誰が2番手になるかは全く分からない。柚香光の大劇場お披露目公演は一本物の『はいからさんが通る』なので、番手は誤魔化されるだろう。問題は次の本公演になるが…。果たして。雪組で彼が担っていたのはだいたい4番手あたりの役どころだったが、そこにはきっと綾凰華あたりが上がってくるだろう。

 

 4人目は、星組の紫藤りゅう。2010年入団の96期生。彼は12/23日付けで宙組に異動する。星組は若手の男役が詰まっていた。紫藤りゅうを筆頭に、天華えま、綾凰華、極美慎、最近では天飛華音などなど。その中にあって綾は雪組へ異動したが、もうひとりくらいは組替えをするだろう、そして紫藤か極美が宙組に行くだろうなと思っていた。紫藤りゅうという男役の魅力は、174㎝という長身とノーブルなたたずまいだろう。その雰囲気がフィットするのは、どちらかと言えば星組ではなく宙組ではないだろうか。宙組には同期の若手スター和希そらがいるが、新天地での活躍を期待したい。

 5人目は専科の愛月ひかる。2007年入団の93期生。彼が11/10日付けで星組に異動する。全くの予想外だった。彼は今年の2月に宙組から専科へ異動したばかり。専科在任期間は半年ほどで大劇場公演への出演はなく、唯一の出演は星組の全国ツアー公演『アルジェの男/ESTRELLAS』。今考えてみると、これが布石だったりするのだろうか。宝塚巴里祭や外部公演への出演はあったが、正直専科を経由する必要はあったのかなぁと思ってしまう。星組の2番手も一体誰がなるのか分からなかったが、そう来たかという感じ。礼真琴のプレお披露目公演『モーツァルト』には専科の凪七瑠海が出演するので、もしかしたら凪七が…とは考えていたけれど。しかしこうなると、愛月ひかるが2番手で、瀬央ゆりあ自動的に3番手ということになり、現状と変化はない。これは花組と同じ状況で、やはりトップスターと2番手を同期が務めるということはないのだろうか。蘭寿とむ壮一帆という例もあるが…。95期はやはりまだ若い、と劇団は判断しているのかもしれない。おそらく礼真琴の星組は長期政権になるだろう。愛月がトップになるとしたら、また組替えがあるのだろうか。

 総括してみると、やはり宝塚の人事は予測不可能だ。2020年の宝塚は大きく変化することになるだろう。