感情の揺れ方

それでも笑っていたい

週間日記(4/15~4/21)

 月曜日:体調が悪い。たぶん原因は朝ご飯に食べたサンドウィッチで、ずっと内蔵というか胃と腸が気持ち悪かった。食欲無し。とりあえずジャンプを読む。やっぱり『鬼滅の刃』と『呪術廻戦』。『鬼滅』はアニメもかなり出来が良くて面白い。この日はずっと調子が悪くほとんど作業が進まず。

 

 火曜日:やっぱり朝から体調が悪い。五臓六腑の位置が分かるくらい各臓器が気持ち悪い。何も食べる気にならず、曜変天目のエントリーを書く以外はほとんど寝て過ごす。良くない。パリのノートルダム大聖堂が焼け落ちた。かなりセンセーショナルなニュースだ。あのステンドグラスも焼失してしまったのだろうか。いつか行きたいと思っていたので悲しい。数年前、パリに行く計画を立てチケットも取っていたのだがテロが起きて流れてしまったことがある。それ以来行けないままだ。死者が出ていないことが救いだろうか。焼け落ちる大聖堂を前に民衆が『アヴェマリア』を歌っている映像がTwitterで回ってきた。なんというか大きい言葉になるが、日本人にはない精神性だと思う。こういう現実の受け止め方があるのだ。決して逃避ではなくて、むしろ彼らは前に進もうとしているのだろう。「創世記」にあるアブラハムの「塵芥に過ぎない私ですが、あえて、わが主に申し上げます」が思い浮かんだ。信仰告白に近い。ああいう状況に直面したら、日本人は何を歌うのだろう。むしろまず、何が燃え落ちれば日本人にああいう感情が生まれるのだろう。寺社仏閣かな。夜になってようやくすこし体調が回復してきたので軽く食事を摂った。22時からのタカラヅカニュースに備えてテレビの前に待機。美弥るりかさんが宝塚大劇場を卒業したのだ。あの美弥るりかが、正2番手のまま宝塚を退団する。正直言って悲しい。樹里咲穂が、彩吹真央が、そして美弥るりかがトップスターになれない。厳しい世界だ。正2番手として2番手の羽根を背負っている組子がトップスターにならず退団する例は多くない。2番手になるということはトップスターになるということとほとんど同じだ。それほどに宝塚の羽根は重い。前回の公演で愛希れいかが退団し、今回の公演では美弥るりかが退団する。そして月組が次回行う演目は『I AM FROM AUSTRIA』というウィーンミュージカルの日本初演だ。月組は大きな転換期を迎えることになる。珠城りょう・美園さくらのトップコンビのパフォーマンスに期待したい。

 

 水曜日:ようやくすこし体調が戻る。なんとなく内蔵に違和感が残っているような具合。久々に空腹感が出てきたので良かった。とりあえず録画していた『相席食堂』を見る。「僕のスフレ」です三連発は新しかった。メンタルが強すぎる。後半のロケが今週はアキナだったので嬉しい。「せやねん!」の系譜に連なる若手芸人。好きなのでM1もキングオブコントも頑張って欲しい。昼からは色々エントリーを書く。花組公演の『CASANOVA』は”主人公殺し”の異名を持つ生田先生が「祝祭喜歌劇」を銘打った作品ということでさてどうかなと思っていたのですが、なんというか最後まで悪人というキャラクターがいないハッピーな雰囲気で良かったです。一日通してやる気が出なかったので作業は進まず。

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 木曜日:朝から車を走らせて、スーパー銭湯岩盤浴にいそしむ。高温のスペースでガンガンに汗をかいたあと低温のスペースで体を冷やすと命が縮んでいるような気がして気持ちいい。休憩スペースに置いてある『カイジ』を少し前から読みだしていて、今回は鉄骨渡りが終わるところまで進んだ。セリフ回しが独特というか、そこが良く出来ている漫画は面白いと思う。『鬼滅』や『HUNTER×HUNTER』などがそれ。セリフというかモノローグかな。整い倒した後は併設されているショッピングモールで文フリに向けた買い出し。いかんせん初めてのサークル参加なので勝手が分からない。とりあえずイーゼルとテーブルに敷く布的なものを買った。しかしいまいち胃腸の調子が戻らない。なんとなく違和感が残る。帰宅後は少し昼寝。岩盤浴のおかげかほとんど気絶するように眠る。めちゃくちゃ寝たなと思って起きたけど一時間も経っておらず、「大量にお酒を飲んでから寝たときかよ」と突っ込んだ。夜にテレビをザッピングしていたら、なんとオードリーの春日が結婚するというではないか。ドッグカフェの狙っている女ことクミさんと。春日が手紙を読んでいるところで普通に泣いてしまい、若林が号泣しているのを見てもっと泣いた。

若林「春日も自分の気持ち言うのが苦手でね。変化することを嫌う人だからって知ってるから、勇気が必要だったんだなと思って」

 春日は変わらない。M‐1で準優勝してから今日まで、ずっと「トゥース!」と言っているし、ずっとピンクのベストにテクノカットだ。だからこそ春日は春日なのである。春日の魅力はそこにある。春日のプロポーズを見届けた若林が号泣しながらこう言うのだから、当たり前に泣いてしまう。

 

 金曜日:とりあえず午前中に銀行へ行って両替をしてきた。文フリのお釣り用だが、まぁ大丈夫だろうと思って適当に500円玉を用意するにとどめた。まぁ大丈夫だろう。そしてやっぱり体が本調子ではないような気がする。食欲が帰ってこない。早く帰ってきてくれ。ゆるゆると作業を進めたりしたのだが、今一つ進捗がなかった。文フリを明日に控えて浮足立っているのだろう。

 

土曜日:文学フリマ金沢当日。朝に最寄り駅を出発し、米原から特急しらさぎに乗って金沢へ向かう。隣に座ったおじさんが厄介で嫌だった。靴を履いたままずっと足を組み替えているからいつかこっちの足に当たるんじゃないかと気が気じゃないし、当たり前のように中央のひじ掛けを占領していた。占領するくらいならまだいいのだが、自己と他者との境界が曖昧なタイプなのかすこしこっちにはみ出しているのが本当に気に障った。お前が座りなおすたびにちょっと触れあうことになる肩と肩との気持ちを考えたことがあるのか。ないだろうな。ないからそうなんだもんな。「新幹線座席倒し事前声かけ案件」より「二列席中央ひじ掛け案件」の方が問題になるべきではないか。もう真ん中にはひじ掛けじゃなくてなんか薄い板みたいなやつを付けておいて欲しい。ビジネスクラスの座席と座席の間にあるようなやつ。そんなことを考えても仕方ないので、フロイトの『精神分析入門』を読みながら到着を待った。だいたい11時前に金沢着。駅から外に出ると、あの門が出迎えてくれた。何度か金沢に来たことはあるけれど、駅は初めてだったのでもちろん写真を撮る。

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金沢駅、鼓門

 天気も良くて非常に過ごしやすい。駅構内を軽く散策して、どこに何があるのかを何となく把握しておいた。撤収後にあまり余裕がないので、帰りの動線をスムーズにしておきたかったから。ふんふん、と適当に見て回ったあと、会場のITビジネスプラザ武蔵へ向かった。一応マップアプリを開きながら歩いたけれど、駅から大きな道を真っすぐに歩いていくだけで到着したので非常にありがたかった。その時点でサークル入場時間までまだ30分以上あったので、同じ建物内のめいてつエムザを散策したり道を挟んだ向かいの近江町市場をぶらぶらしたり。当たり前だけどカップルが多い。金沢は全体的に観光地と観光地がそれほど離れていないので楽しみやすい印象がある。兼六園、近江町市場、ひがし茶屋街。どこも非日常的で素敵な場所だ。そういえば何年か前に友人数名と金沢観光をしたとき、おしゃれな建物の脇を歩きながら「おしゃれやなぁ」「21世紀美術館ちゃう?」とか話しながら歩いていて、いざ建物の入り口まで行ったら裁判所だったことがある。こういう適当なところが良くない。そんなことを考えていたらぼちぼち12時が近づいていたので会場へ戻った。参加証を見せてホールに入ると全体的にこじんまりとしていて、初めての即売会参加に文フリ金沢を選んだのは正解だったなと思った。なんというかアットホームな雰囲気だ。みんなで楽しみましょう、というか。例えばコミケなんかはもう楽しむというより生きるか死ぬかという感じで、まさに戦場である。私の主戦場がコスプレ島だからかもしれないけれど。いざ自分のブースに行ってみると、ちゃんと段ボールが置かれていた。ありがとうしまや出版さん。しまや出版さんも参加されていて、開場前にわざわざご挨拶に来ていただいた。あんな適当入稿をこんな綺麗な形にしてもらって、本当に頭が上がらない。ブースの設営というものに挑戦したのはもちろん初めてだったけれど、いろいろな気づきがあった。布は小さいものより大きいものの方が良いとか、ガムテープがあった方がいいとか、ポップはy軸の上の方向に作った方が目に入りやすいとか、いろいろ。結果として、売れたのは2冊。2冊も売れた。自分の書いた本が、2冊も売れたのだ。見ず知らずの人にだ。全く知らない人がブースに立ち寄って、サンプルを手に取って、「1冊ください」と言って500円を渡してくれる。これはもうなんというか、奇跡だろう。当たり前じゃない。こんなに嬉しいことがあるか?それが2回だ。13時会場でだいたい17時半には撤収したけれど、その間に自分の本が2冊、誰かの手に渡っていった。私はこの日のことを、彼らのことを絶対に忘れない。絶対に。なんとも言えない高揚感にうかされながら宅急便の手続きを済ませ、金沢駅へ戻った。その時点でだいたい18時だったから、お土産を買う時間はあってもゆっくり晩御飯を食べる時間はないという感じ。行きの車内でなんとなく目星をつけておいたお土産を買い、レストラン街をうろつく。ここで気づいたのだが、空腹が帰ってきている。久々の空腹感に包まれていた。おかえり、もう家出なんかしないでね。本当は回転寿司なんかを食べたかったけれど、いかんせん時間がない。悩んだ結果、ゴーゴーカレーに入った。金沢名物の黒いカレー。チキンカツがのっているもので、800円。800円。今日手に取ってもらった本は2冊。合計で1000円が私の手もとに。自分の書いた本がカレーになっている。そんなことを考えながら食べたカレーは、なにか特別な味がした。

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チキンカツカレー中盛り、800円

 カレーを食べ終えて特急のホームへ向かうとアナウンスがあった。人身事故の影響で特急に遅れが出ているとのことで、それならお寿司を食べたりしてもよかったんじゃないのかなんて思ってしまった。ベンチに座って待っていると、だいたい20分遅れで目的のしらさぎがホームに滑り込んできた。最終の一本前の特急だったのが、車内はかなり空いていた。土曜日の夜にわざわざ金沢を離れるような人間は少ないのだろう。隣に座る人もおらず胸をなで下ろした。すっかり夜の帳が降り切った北陸の風景に目をやりながら今日一日のことを反芻してみる。不安に包まれていた朝、ドキドキしながら椅子に座っていた昼、本を手渡す瞬間。あの瞬間私は手を差し伸べることが出来たのだ。他でもない、教室でうずくまっていた高校生の自分に。俯いて耳を塞いでいる自分の手を取って、「大丈夫だよ」「間違ってなかったんだよ」と言って抱きしめてやれたような気がした。あのなんでもないただの500円玉が、私にとってはただの500円玉ではなかった。暗闇が滲みだして、もうどうにもならなくなったところで少し目を閉じて考えるのをやめた。この高揚感に身を包んでいようと思った。ほんの少し意識をなくした後に目覚めると、それでもまだ米原まで一時間くらいの地点だったので、今度はフロイトではなく坂口安吾を読んだ。読んだけれど、どこか集中できなくて『桜の森の満開の下』だけを読んでやめた。この感情を表してくれる言葉を探しているような感覚だった。結局予定から30分ほど遅れて帰宅。まさに激動の一日だった。素早くお風呂を済ませて、すやすやと眠る。

 

 日曜日:とりあえず先週クリーニングに出していたスーツを受け取りに行った。着られる日がくればいいのだが。帰宅してからはぼちぼち作業を進める。夜に山口真帆さんがNGTを卒業するとの発表があった。NGTのことは詳しくないし、今回の騒動もインターネットにある情報以上のことは知らないけれど、なんというかここ10年ほど続いたアイドルブームの終焉を見たような気がする。もうグループで活動しているアイドルはよっぽどじゃない限り続いていかないのではないだろうか。AKB系も坂道系も、そろそろだろう。ざっくり言えば、秋元康的価値観が見直されるべき時期ではないか。海外のグループが秋元康のプロデュースにNOを突きつけたように、そろそろ日本人も彼のエンターテインメントから距離を置かねばならない。そもそも、日韓合同アイドルグループの日本デビュー曲のタイトルが『ラヴィアンローズ』はダサすぎるだろう。

 

 

精神分析入門(上) (新潮文庫)

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堕落論 (集英社文庫)

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